夏こそ思考力UP! 保護者はどうかかわる?[高校受験]

近年、各都道府県の公立高校の入試問題が、思考力・判断力・表現力を問う方向に変わってきており、単なる丸暗記では解けない問題も増えています。まとまった時間がとれる夏こそ、しっかり思考力の基礎をつくってほしいものです。

今回は、思考力UPを応援するための環境づくりについて、ポイントをお話しします。

1 リビングを「調べやすい」場に

近年の入試問題には、身近な社会課題や国際問題を扱ったものが増えています。ふだんからニュースに関心をもち、わからない言葉が出てきたら調べ、自分なりに考える癖がついていないと、こういった問題には太刀打ちできません。

ぜひ、家族でテレビのニュースを見る、新聞を読むなどして、社会問題や国際問題に触れる機会をつくってください。そして、辞書やパソコン、地図などをリビングに置いて、ニュースでわからない言葉や地名が出てきたら、すぐに調べられる環境をつくっておくのがおすすめです。

なお、調べるのは「覚える」ためではありません。関心をもって調べる癖をつけておくと、ニュースの中に知らない言葉が出てきても、「ああ、これは地球温暖化に関係のある話かな」というふうに、話の内容にある程度見当がつくようになり、考える切り口が見つかりやすくなります。

2 「答え」より「疑問」を大切にする環境づくりを

思考力に優れた子どもたちの話を聞いていると、家庭の中に様々な問題を自分ごととしてとらえ、話題にする雰囲気があるのだなと実感することがあります。国際問題にしろ環境問題にしろ、「自分とは無関係」と感じていれば、興味も疑問もわいてきません。
しかし、ちょっと見方を変えれば、私たちの生活も社会のしくみや世界のできごとと密接につながっています。よく食べる食品の輸入先や産地、電車やバス車内の広告の内容、最近見かける駅の外国語表示や駅名のナンバリング(山手線の東京駅ならJY01)など、考えるきっかけとなる材料はたくさんあります。「疑問をもつ」ことが思考力の出発点です。
保護者のかたも、身の回りの疑問を何気なく話題にしてみてはいかがでしょうか。

3 「聞く」ことで考えを引き出し、まとめる手助けを

記述問題や作文で、お子さまが苦労しているようなら「難しそうなことやってるね」「ちょっと教えて」などと声をかけて、話を聞いてみるとよいですね。考えがモヤモヤしてまとまらないとき、人に説明しようとすると整理がつくことはよくあります。
この時に大切なのは、保護者のかたが先に「答え」を言わないこと。子どもの話を辛抱強く待ち、興味をもって本気で聞くことです。聞き手が話に「食いついている」と感じると、話し手も勢いづいてきます。

4 子どもの長所を知り、そこに光を当てる

同じものを見ても、目のつけどころや受け取り方は一人ひとり違います。その子なりの視点や課題解決のしかたはすでにその子の中にあり、それが子どもの「長所」といえます。思考力・判断力・表現力を伸ばすには、少し引いた視点から子どもの長所を知り、そこに光を当てる意識が大切だと思います。周囲の大人が他の子と比較して、ひとつの「正解」に近いか遠いかだけで判断していると、その子独自の視点や考え方は表に出てこなくなってしまいます。

余談ですが、昔観たNHKの「奇跡のレッスン」という番組で、タイガー・ウッズを4歳から10歳まで指導したルディ・デュラン氏の話が印象的でした。デュラン氏が日本の公立中学のゴルフ部で指導した際、生徒が自分の失敗ばかりを気にするので、「良かったことだけ書いてごらん」とノートを渡したそうです。最初は反省点しか思いつかなかった生徒たちですが、「良かった」ことを記録することで、しだいに「うまくいった」ときの感覚をつかんでいったといいます。自分なりの成功感覚をつかんだときに、可能性が広がるのです。

子どもの発言や書いたものには、物足りないところや論理性に欠けたところもあるかもしれませんが、そこは指摘せず、まずは目のつけどころを認めてあげてください。そうしないと自分なりの考え方は育ちません。子どもの考え方をよく聞いた後、「それなら、もっとこうしたほうが伝わりやすいのでは」などと話しながら表現をブラッシュアップする手助けをしていくとよいのではないでしょうか。

思考力・判断力・表現力は、入試だけでなく一生役立つ力です。お子さまの思考力UPを、ぜひ家族で応援してあげてください。

プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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