内申点を上げるには?【高校受験】

「内申点」は、高校入試の合否に影響する大切なもの、ということは知られていても、そのつけ方や入試での扱いは「よくわからない」というかたも多いようです。
今回は、内申点を上げるための具体的な方法についてお話しします。

内申点のもとになる「評定」と観点別評価とは?

入試相談などで保護者のかたとお会いすると、「先生によっては、内申点を恣意(しい)的につけることもあるのでは」といった不安の声をよく耳にします。しかし近年は「観点別評価」の考え方が徹底されているので、恣意的な評価は難しいと思います。
内申点のもとになる「評定」(成績)は、「観点別学習状況の評価」(観点別評価)に基づいて決定されます。「観点別評価」とは、「関心・意欲・態度」「思考・判断・表現」「技能」「知識・理解」の4つの観点から(国語のみ5観点)、学習指導要領に示されている各教科の目標に照らしてA・B・Cの3段階で評価する方法です。
保護者のかたが高校受験された時代は、「評定」は相対評価でつけられていましたが、現在は全都道府県が絶対評価となりました。相対評価は、集団内における位置で評価を決める考え方で、「5」がつくのは全学年の7%、などと割合が決まっています。一方、絶対評価では、目標に対する個人の到達度で成績が決まります。「5」の人数に制限はないので、「観点別評価がすべてA」など、学校が定める目標を達成した全員が「5」となります。
なお、絶対評価により、「5」「4」の評定が増え、「2」「1」は減る傾向にあります。成績の平均値は「3」ではなく「3.5」くらいと考えるとよいでしょう。

通知表と定期テストの問題を見比べ、「観点別」対策を

絶対評価の導入とともに、評価が恣意的にならないよう、観点別評価の考え方が徹底されています。たとえば定期テストでも、どの問題でどの観点を見るかを明確にするなど、評価の根拠を示すことが求められるようになりました。
通知表には、評定とともに「観点別評価」が記されています。評定を上げるためには、通知表の観点別評価と定期テストの答案などを見比べて分析することが大切です。分析はひとりでは難しいので、最初は保護者のかたが一緒に行ってあげるといいですね。
たとえば社会科の観点は「社会的事象への関心・意欲・態度」「社会的な思考・判断・表現」「資料活用の技能」「社会的事象についての知識・理解」の4つです。定期テストの問題を見ると「知識・理解」の観点を見る問題か、グラフや表、文書や写真、画像といった「資料活用」の観点を見ているのか、おおよそ判断がつくと思います。「『思考・判断・表現』が弱いみたいだから、記述問題をもう少しがんばってみようか」「資料の読み取りに力を入れてみよう」などと、ぜひお子さまと一緒に考えて方針を立ててみてください。

実技4教科——授業・定期テストに前向きに取り組めば一定の評価は得られる

実技4教科は、一般に高校入試ではテストが行われないため、内申点の算出時に実技4教科の評定を2倍にするといった配慮をする都道府県も少なくありません。ですから、実技教科をおろそかにしていると、入試の際、非常に不利になる場合があります。
実技教科には得意・不得意があると思いますが、たとえば美術が苦手でも、作品の制作に真剣に取り組んで期限内に提出し、定期テスト対策をきちんと行えば、一定の評価は期待できます。調査書(内申書)はそもそも「中学校での日頃の努力も評価する」ためのものですから、やるべきことをしっかりやることが大事なのです。

私立高校の推薦入試を受ける場合、内申点はどう扱われる?

私立高校の推薦入試を受ける場合は、その学校の出願基準を知っておく必要があります。
各学校の出願基準は、たとえば「5教科計23以上、9教科計39以上で2以下がゼロ」などと、3年次の成績を足し合わせた内申点(素点、素内申)を基本に示されます。つまり、内申点が高いほど、推薦入試で受けられる高校の選択肢は広がるといえます。
また、調査書に記される「諸活動の記録」に応じて、内申点に加点する私立高校もあります。加点の対象となるのは、部活動での大会出場やコンクール入賞、生徒会やボランティア等での顕著な活動、英検や漢検といった資格取得等です。

「部活や生徒会活動をやっていないと高い内申点は取れない」は誤り

上述の通り、学校内外での活動の顕著な成果は高校側で選考の参考として扱われ、推薦入試ではアピールポイントとなります。しかし、各都道府県が定める「内申点」の算出方法は、基本的に各教科の評定がもとになっており、「部活に入っていないから内申点が低くおさえられる」ようなことはありません。
大学入試も、一発勝負の学力試験だけでなく、高校での学びや課外活動の成果をポートフォリオにまとめ、「高校で何を学び、何に打ち込んできたか」「大学では何を学びたいか」を自己アピールするような形式の、いわゆるAO入試が増えてきています。高校入試もこの流れの中にあると考えてよいと思います。
つまり、「入試で有利になるから」と部活や生徒会、校外活動をやるのは本末転倒です。好きなことに打ち込んだ経験、身近な問題に真剣に取り組んだ経験は、独自の思考力や判断力、表現力の源になります。そのような経験を大切にし、そこから学んだことをきちんと自己アピールにつなげることが大切なのです。

中3の2学期は、授業・定期テストに全力投球を

授業や定期テストが入試につながるとまったく意識していなかった、納得のいく成績が取れていない、これまでの内申点では志望校の受験が不安……。2学期になると、中3生からこのような焦りの声をよく聞きます。
特に中3・2学期の定期テストは、内申点アップにつなげる最後の大きなチャンスです。苦手な単元や「観点別評価」を、通知表や定期テスト、模擬試験の成績表などで分析して注力するポイントを絞り、万全の態勢で臨んでいただきたいと思います。
内申点と高校入試のシステムについては、中1・中2の段階から各都道府県の正確な情報を知り、親子である程度共有しておくことが大切です。内申点が決定してしまうと、「行きたい学校」ではなく「行けそうな学校」探しになってしまいがちです。早くから入試システムを意識しておくことで、志望校の選択肢は格段に広がります。

プロフィール

安田理

安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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