募集定員充足率から見た狙い目の学校とその変化とは?【中学受験】

学校選びをするうえでは、実際の在籍者数を知ることも大切です。どれくらいの規模の学校で、同じ学年に何人生徒がいるのかを知ると、入学したあとの具体的な学校生活をイメージできるからです。また、自然と受験生が集まる上位校ではなく、偏差値が真ん中より下の学校でも、人気がある学校は、独自の工夫を行い、よりよい学びを提供している場合もあります。こうした人気の傾向は、実際にどれくらいの生徒がその学校に入学したのかで測ることができます。

森上教育研究所では、学校ごとにアンケートを実施し、募集定員と実際の在籍者数をもとに募集定員充足率を調べました。まずは東京の私立中学校の結果をお伝えします。

人気と実績を比べてわかる、狙い目の学校とは?

【東京】私立中学校の募集定員充足率と歩留り率 一都三県(H30)

データ出典元:森上教育研究所

表は、四谷大塚合不合判定テスト80%予想偏差値順に、男子校・女子校・共学校という順番で並んでいます。

男子A~Cの上位校は、定員に対して募集定員充足率が100%以上で推移している学校がほとんどです。
次いでDですが、巣鴨は年々充足率が落ちてきていることが見て取れます。巣鴨は2018年は入試を2回から3回に変更し、2019年は算数一科入試を午後に設けることにしています。これにより緩くなる1回目・2回目の試験は非常に受けやすくなります。算数一科入試自体は厳しい入試になることが予想され、試験は後半にいくほど難しくなるので、第1回の入試に狙いを定めて受験すれば、相当合格しやすいです。巣鴨は全国でも屈指の医学部合格率を誇りますから、狙い目といえるでしょう。

その次のFも男子校はニーズが高いものの、偏差値の真ん中から下になるGとHは、充足率が追いつかず、緩やかな入試となります。中でも、充足率が50%以下で推移している明法は、来年から高校が共学になることが発表されています。定員割れが激しいと、なんらかの動きが出てくるということですが、受験生がその動きをどういうふうに受け止るでしょうか。来年は変化の年になるでしょう。

次に、女子校です。
女子の上位校は110%強が多く、A・Bの学校は人気が続いています。豊島岡女子学園はだんだん定員を増やしており、2018年度は118%の充足率となりました。
Dは上位校に近い中堅ですが、こちらも安定してうまくいっている印象です。人気が高くなってきているのが光塩女子学院で、入学者も158名に増加しています。山脇学園は応募者数がだいぶ減ったものの、蓋を開けてみれば入学者が非常に多いという結果になりました。
そして、女子もやはりGから下の募集状況が緩やかになっています。Hはすべて定員を集めるのが厳しい状況ですが、成女学園や聖ドミニコ学園は経営者や校長先生の交代で募集内容が大きく変わりました。武蔵野女子学院は来年共学になることが決定しているので、やはり、充足率が高くない学校は何らかの変化をしなければならないということでしょう。

最後に共学です。
共学校は見ての通りどこも堅調で、大学付属校は人気が続いています。たとえば、成蹊は2016年度から105.7%、108.6%、111.4%と年々定員オーバーになっており、実際の在籍者数も上昇しています。東京都市大学等々力は早慶合格の実績が認められたこともあり、好調な結果となりました。
Fから下になると、集まっているところとそうでないところが出てきます。一口にFといっても学校の勢いの差が見て取れる結果です。Hの郁文館は3年続けて充足率が増えていますが、ICT教育を積極的に取り入れたことが認知されてきたからでしょう。
日大系は今年人気が落ちるかどうかわかりませんが、とにかく安定的に集めています。聖徳学園はSTEM教育を掲げてから人気が出はじめています。

全体を見渡してみると、偏差値が真ん中から下の学校は、グローバル化やSTEM教育など新しいことを取り入れるなど時代の変化に敏感な学校は人気が集まっていて、変化に疎い学校はダメージが大きいという印象を受ける結果となりました。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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