要チェック!私立・公立幼稚園の平均費用

お子さまの保育をご自宅でされてきたご両親にとって、お子さまが幼稚園入園の年齢に達すれば、まずはホッとすることでしょう。同時に、いざ幼稚園の選択を迫られて「私立?それとも公立?」「違いは何?」「費用は?」とふつふつと疑問が湧いてくるのではないでしょうか。

幼稚園の選択にあたって気になることは多くありますが、費用について昨年から制度変更があったことはご存じでしょうか? 2014年度までは、幼稚園の費用はどこでもある程度決まっていました。しかし、2015年4月から「子ども・子育て支援新制度」がスタートし、保育料の算定方法が変わったのです。ではいったい、どのような変化があったのでしょうか? 幼稚園を選ぶ際に気になる「費用」にスポットを当てて、みていきましょう。


私立or公立でこんなに違う費用相場

 ひとくちに幼稚園といっても、私立と公立の幼稚園がありますが、その違いは何でしょうか。まずはその特色や費用について、みてみましょう。

 

【特色】

園の数は、東京都の場合、ほとんどの区で私立が多くを占めます。その割合は、例えば世田谷区のケースでは、全幼稚園66園のうち公立が9園、私立が57園となっています。ちなみに、最近は、「認定こども園」という、幼児教育と保育を行う、いわば幼稚園と保育所が一体化した施設も登場しており、世田谷区では私立幼稚園の57園のうち3園が、この認定こども園となっています。

 

【費用】

幼稚園は文部科学省が管轄する教育施設で、3歳になった春から小学校入学前まで入園できます(3年保育の場合)。文部科学省「子供の学習費調査(平成24年)」(※1)をもとにした表をご覧ください。項目については、以下の通りです。

 

○教育費

入園料、保育料、PTA会費、制服費、学用品費、スクールバス代など
(公立幼稚園では、入園料が不要なところもあります)

 

○給食費

保護者が給食費として幼稚園に納付した費用
(給食がない場合や毎回給食のない場合はデータに変動あり)


費用は幼稚園によって異なりますが、1年間の幼稚園にかかる費用は公立幼稚園が15万円、私立幼稚園が約37万円と、私立が公立の約2.5倍。その費用の多くを教育費が占めています。3年間の総額でみると、公立幼稚園は約45万円、私立幼稚園は約110万円と、その差はなんと65万円! 改めて驚かされる金額の差が生まれます。

 

 


「子ども・子育て支援新制度」での幼稚園の費用は?

 ただし、上記は2015年4月からスタートした「子ども・子育て支援新制度」前のデータに基づいており、すでに新制度へ移行した私立幼稚園では、利用者の負担額が変わってきます。

 

「子ども・子育て支援新制度」は、消費税率引き上げによる増収分を活用し、社会全体で子どもの育ち、子育てを支えようという考えをもとにスタート。みなさんにとって最も身近な自治体が中心となって進め、それを都道府県や国が制度面、財政面から支えています。

 

この新制度で幼稚園の費用は、保育園の費用と同じように、所得に応じた負担となりました。市町村民税額(住民税の一部)に基づいて5つの階層に分けて、幼稚園利用者の負担額を決定します。きょうだいで利用する場合、最年長の子どもから順に2人目は半額、3人目以降は無料となります。

 

現在は新制度への移行時期であり、2015年から新制度に移行した私立幼稚園は全体の約23%、2016年までに新制度に移行予定の私立幼稚園は、全体の約30%(2015年7月現在)となっています。現状では、ほとんどの私立幼稚園について上記表の年平均額を目安にしてもいいと思いますが、今後は新制度に移行する園が増えてくることも予想されます。

 

経過措置による対応としては、以下の図をご覧ください。これは、現在の保育料が毎月19,000円(入園料等も含めた毎月平均額)となっている私立幼稚園が経過措置を選択して、新制度移行後も毎月19,000円の利用者負担を設定する場合のイメージ例です。

 

新制度への移行時点で、自治体が定める利用者負担額よりも低い保育料等を設定している私立幼稚園・認定こども園については、一定の要件のもとで、新制度の移行後も引き続き低い利用者負担額で徴収することを認める経過措置をとることにしています。ただし、5年経過時点で自治体が定める利用負担額に合わせるよう努めることが基本とされています。

 

経過措置が終了した時点で、5階層のうちの第1階層は利用者負担額なし、第2・3階層に関しては利用者負担が大幅に減ります。それに反して、第4階層は1,500円/月、第5階層では6,700円/月のアップとなります。

 

わが家はどの層にあたるのかを確認し、幼稚園にかかる費用が減額されるのか、増額されるのか、選択先の幼稚園に確認して状況を知る必要がありますね。

 

【経過措置による対応(基本的なイメージ例)】内閣府「子ども・子育て支援新制度」(※2)

 

【入園・転園】こんなケース、いくら必要?

 次に、入園・転園準備の費用、そして公立と私立に現在のところかかる具体的な費用の目安をご紹介します。

 

【入園・転園準備】

入園料、制服費や学用品費などは前述の表「幼稚園にかかる費用の年平均額」の教育費に含まれているので、それ以外にかかる費用についてご紹介します。

 

幼稚園によって異なりますが、例えば、体操着・スモック・防災ずきん・袋類(絵本袋、上履き袋、体操着袋など)・水着・水泳帽・お手拭きタオル・歯みがきセット・遠足用リュックサック・脱ぎ着しやすいズボンや靴下など…。細かいものですがそれぞれ用意する必要があります。公立幼稚園、私立幼稚園ともにこれらをそろえるとなると、目安として約35,000円かかります。

 

【公立の場合】

公立の幼稚園を選択した場合、具体的な費用はいくらぐらいでしょうか。まず入園料は不要あるいは5,000円〜10,000円の場合が多いようです。そこに平均月額保育料10,000円に加えて新しい制服費、体操着やかばん等の購入が必要になるので、合計50,000円ほどかかる計算になります(制服のない幼稚園の場合は、金額に変動があります)。
ただし、これはあくまで現在の金額の目安で、今後、新制度においては自治体の定める所得に応じた保育料に変更されていく可能性があります。

 

【私立の場合】

一例として、現在世田谷区にある私立幼稚園12園ほどの具体的な平均額を、筆者が計算してみました。
入園料120,000円、管理維持費・冷暖房費・本代等46,000円、保育費27,000円/月、合計193,000円。これに制服費、体操着やかばん等を加えると、ゆうに200,000円を超えます。地域により多少の金額の差が出るにしても、入園および転園による家計負担がかなり大きいことがわかります。

 

また、年少・年中のときに転園する場合は、制服、体操着や園指定のかばん等を購入する必要があるようですが、年長の場合は在籍期間が短いので制服のみ購入し、その他のものは在園していた幼稚園のものを使用することもあるようです。転園先の幼稚園によって異なるようなので、事前に確認してみるといいでしょう。

 

 

えっ費用が戻ってくる!?補助や減額もあるって本当?

 私立幼稚園では、入園時および毎月の月謝がかなりの出費となります。自治体にもよりますが、私立幼稚園にかかる費用が戻ってくる・補助が出る・減額が受けられるなどの制度もあります。以下、東京都内の自治体で比較してみましょう。

 

また、上記表より世田谷区、練馬区、江戸川区の保育料・就園奨励費補助金は保護者の所得に応じて、保育料等の一部を補助するということになっています。ただし新制度では、幼稚園に支払う保育料自体が保護者の所得に応じて自治体が定める負担額となることから、就園奨励費の制度はなくなります。
自治体によって補助金額が異なるので、それぞれの自治体の状況を確認する必要があります。

 

 

2015年4月にスタートした「子ども・子育て支援新制度」では、幼稚園の利用者負担額は所得に応じた負担となり、市町村民税額(住民税の一部)に基づいて利用者負担額が決定するというのが肝になっています。今後、幼稚園を選ぶ際には、お住まいの自治体や幼稚園に確認して、幼稚園にかかる費用を調べる必要があります。
また、入園準備や転園時に予想外の費用がかかることも知っておいた方がよいでしょう。不明点があれば自治体や幼稚園に確認し、しっかりと準備したいですね。

 

*ここで紹介する情報は2016年1月時点のもので、変わることがあります。

 


参考:

※1「子供の学習費調査(平成24年)」

http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/
List.do?bid=000001051974&cycode=0

 

※2「子ども・子育て支援新制度」

http://www8.cao.go.jp/shoushi/
shinseido/outline/pdf/setsumei.pdf

 

 

プロフィール



株式会社イー・カンパニー ファイナンシャルプランナー(AFP) 「今も将来も、安心」をモットーに、しっかり支出をおさえる家計管理と将来のための資産運用を自ら実践。主婦目線を活かした有意義なお金の使い方のアドバイスを行っている。マネー相談とは将来への希望を感じる時間と考え、明るい未来へ導けるファイナンシャルプランナーを目指す。

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