小中学生がコーチングを学ぶとこうなった?![やる気を引き出すコーチング]

最近は、社会人向けのコーチング講座に、当たり前のように、小中学生も参加してくれるようになりました。大人向けのテキストをそのまま使い、講義、演習も大人に混じって行います。私も講座中に時々、小学生にコーチングをしてもらいますが、子どもだからと言って、手加減はしません。私自身の仕事の話を聴いてもらいます。自分の知らない話だからこそ、子どもは純粋に、「答えは相手の中にある」というコーチングの哲学に沿って、私の答えを引き出すように質問をしてくれます。実に名コーチです。

講座が進むにつれて、子どもたちがどんどん成長していくのが手にとるようにわかります。コーチングを学んだあと、自分に起きた変化を、各々に発表してもらったところ、「自信が持てるようになった」、「学校の授業で手を挙げられるようになった」、「友達が増えた」などの発言があり、コーチングの学習効果に、あらためて感動しました。この変化は、どのような体験によって起きるのでしょう。私なりにこのように分析してみました。

■受容してもらえる効果

小学校5年生の男の子は、「コーチングで起きた変化」について、こう発表しました。
「コーチングを始める前は、学校で手を挙げられませんでした。コーチングの時間の最後に、今日の感想を言うのをどんどん繰り返しやっていくことで、学校でも自信を持って手を挙げられるようになりました」。
 コーチング講座では、折々に、「自分はどう感じたのか」を話してもらいます。もちろん、聴き手がいて、どんな感想でも口を挟まず最後までしっかりと耳を傾け、受容します。この体験が、子どもたちにとって、とても良いトレーニングになっているのだと思います。

「自分はどう思ったのか」という自分の気持ち、考えに正解、不正解はありません。ですから、聴き手は、決して「それは間違っている」と言わずに聴いてくれます。この体験を繰り返すうちに、自分が思ったことは言ってもいいんだ!と思えるようになります。
 子どもが、自分の考えを話さなくなるのは、「そうじゃない」と否定されたり、「これが正しい」と意見を押し付けられたりするからです。受容してもらう体験を通して、自ら手を挙げて発言する勇気も自分の考えをまとめて話す力も育まれるのです。
 続けて、彼はこうも言っていました。「人の言葉もちゃんと聴けるようになりました。聴いているとまた、どんどん自分からも話せるようになりました」。
 聴いてもらえるから、今度は、相手の話を受容して聴くことができるようになります。十分に聴いてもらえた体験は、相手を受けとめる心の余裕をも生み出します。
たとえ、違う意見であっても、受容してもらえた体験を持つ子どもは、他者の言葉もいったん受容できるのです。

■違いを認める効果

 中学3年生の女の子は、こう発表しました。
「私はコーチングをすることによって、自分の世界観が変わったと思います。人は各々違ういろんな意見を持っていて、いろんな人がいるんだとわかりました。それを聴き出すことで、その人の考えや生き方を知ることができ、どんどん自分もどうなりたいかが定まっていって、いろんな人とコミュニケーションをとるのが楽しくなり、友達も増えました」。

 すばらしいコメントだと思います。様々な人の異なる意見を聴き、各々違いがあっていいんだということを彼女は学んだのでしょう。
 「こうでなくてはならない」、「こう考えないのはおかしい」と言われるのではなく、各々の違いを尊重し合う大切さを学んだことで、「友達が増える」という結果も生まれたのではないかと思います。
 子どもたちの学ぶ力、成長する力は本当にすばらしい!と感動するとともに、このようなコミュニケーションをもっと子どもの頃から体験できたら、子どもの幸福度はもっと高まっていくように感じます。

プロフィール


石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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