子どもの料理の手伝いは「将来への種まき」の感覚で

『ひとりでできる子どもキッチン』(講談社)を発売した料理家の上田淳子さんは、幼児~小学生くらいから料理のお手伝いをさせると、いろいろなよいことがあると話します。具体的にどういうことなのか、お手伝いのポイントと合わせて伺いました。

包丁は小学生から、コンロは小学校中学年からで大丈夫

料理のお手伝いは、包丁や火など、危険なものを使うこともあるため、何歳でどんなことをやらせたらよいのか、迷われている保護者のかたは多いかと思います。
よく、3歳くらいからでも包丁を握らせることができると言われますが、それは保護者のかたが付きっきりで教えてあげることができる場合に限られてくると思います。
なので、無理に3歳から教える必要はなく、「包丁はケガをするかもしれない危ないもので、自分や周りの人に向けてはいけない」という認識ができる小学生になってからでも十分だと思います。

さらに、コンロで本物の火を使うのは、小学校中学年くらいからでOK。かといって、それまで料理のお手伝いができないかというとそういうわけではありません。ピーラーやテーブルナイフなど、比較的安全な道具は幼児でも取り扱うことができます。テーブルナイフは刃に触っただけではケガはしませんが、バナナやソーセージなどを切ることはできます。もちろん、子ども用でなく家庭にあるものでかまいません。
また、お子さまが料理をするときは、キッチンカウンターではなく、高さの合うダイニングテーブルを使うのがおすすめです。

小学生になって包丁を使い始めたら、包丁は切れるから危ないということを教える必要がありますが、包丁を握っているときだけでなく、使っていないときの置き場所も教えてあげたいところです。包丁の置き場所は、刃を自分と反対画に向けて、まな板の向こう側に置きます。
ガスコンロについても、紙や布巾を近くに置かないことはもちろんですが、お子さまが小さいときは、自分の体に引っかからないよう、フライパンや鍋の取っ手がコンロやキッチンカウンターから外側に出ないように教えます。
こうした約束をした上で、「そうじゃないでしょう」などとすぐに割って入るのではなく、少し遠目で見守りながら楽しく料理ができるとよいですね。

小学生までに料理を少しでもやっておくことが将来の体調管理にもつながる

私自身は、双子の男子を育てた母親でもあります。子どもが小さい頃は、毎日ヘトヘトになりながら子育てをしていました。ある日、疲れ果てて料理を作ることができなかったときに、子どもにキャベツを丸々一つ渡したことがあります。すると、彼らはそれを嬉しそうにちぎって遊び始めました。それをバター蒸しにしただけで、すごく喜んで食べていました。きっと、自分たちでちぎったキャベツだからでしょう。
それがきっかけで、私はできそうなことをやらせるようになりました。ラップを使っておにぎりを作るといった本当に簡単なことから始めて、成長に合わせてできることを増やしていきました。
今、二人は大学生になりましたが、私が仕事で食事を作れないときは、自分の食べたいものを自分で食べるようになりました。特別に手の込んだものではなく、料理をするのは別に苦でもないし、特別なことでもないという感覚です。

こうして小学生のうちに種まきのような感覚で一緒に料理をしておくと、勉強や部活で忙しくなる中学生・高校生を経ても、芽は育ち続け、大学生・社会人になったときに、自分で料理を作って食べることを当たり前のこととしてできるようになっているはず。もちろん、毎日でなくても構いません。彼らにとって料理がリフレッシュになって、体によいものを自分で作って食べるという習慣にも繋がります。
ぜひ、保護者のかたと一緒に楽しめる今の時期に、料理にチャレンジしてください。

プロフィール

上田淳子

料理研究家。兵庫県神戸市生まれ。辻学園調理技術専門学校の西洋料理研究職員を経て渡欧。スイスではホテルのレストランやベッカライ(パン屋)を始め、フランスではミシュランの星つきレストランやシャルキュトリー(ハム・ソーセージ専門店)などで修業を積み、帰国後は東京のサロン・ド・テでシェフパティシエとして勤務したのち、料理研究家として活動。大学生の双子の男の子の母であり、自らの育児経験と知恵を生かした作りやすい家庭料理のレシピが好評。子どもと家族の“食”に関する活動を行い、『るすめしレシピ』(自由国民社)、『共働きごはん夕食を作りながら作りおきもできる!』(主婦の友社)、『離れている家族に冷凍お届けごはん』『ひとりでできる子どもキッチン』(講談社)など著書も多数。

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