子どもが「自分の課題」として考えるよう促す関わり方[やる気を引き出すコーチング]

 日頃、中高校生と、進路や日常の課題について話していて、気になることがあります。
「親にダメって言われたから、もうどうしようもないんです」
「ぜんぜんやる気が湧かなくて、このままいったら、自分、どうなっちゃうんでしょうね?」
「まあ、先生が最終的になんとかするんじゃないですか?」

 そんな言葉を吐きながら、自分の課題について、どこか他人事のように語ります。
「自分自身のことなのに、そんなに無関心、他人任せでいいの?」と思います。
このまま、自分の人生がおもしろくないことを誰かのせいにして大人になっていくのだろうかと思うと、せつない気持ちになります。
どんな関わり方をしていったらよいのでしょうか。

■「自分がコントロールできないこと」は手放す

 中学生のSさんは、2年生になって、担任の先生が変わり、その先生とどうも反りが合わない様子でした。急に、勉強へのやる気も失い、せっかく安定してきた成績も下がり気味です。そんなSさんを心配した家庭教師のTさんは、まずは、気持ちをじっくり聴いてみようと思いました。

「最近、何か気になっていることがある?」
「学校がぜんぜん楽しくない。どうして、あんな担任のクラスになったんだろう?もう最悪!担任のせいでやる気がまったくなくなった。1年の時のクラスがよかったな」
「そう、そんなふうに思っているんだ」
「違う先生だったら、もっと平和になれるのに。あ〜あ、担任が変わらないかなぁ」
「それって、自分がコントロールできること?」
「え・・・?」
「担任の先生を変えるって、Sさんができること?」
「え?そんなのできるわけないじゃん」
「だよね!だとしたら、それ、ずっと言っていてもしょうがないよね。手放そうよ!」
「はぁ?・・・」

■「自分がコントロールできること」と「できないこと」の分別

 Tさんは対話を続けました。
 「今日、雨が降ってるよね。『雨がやんで晴れたら、平和になれるのに。あ〜あ、晴れないかなぁ』って言っていて晴れるかな?残念ながら、今週はしばらく雨予報みたいだよ」
「まあ、いつかは晴れると思うけど、しょうがないでしょ。雨なんだから」
「だよね!お天気は自分でコントロールできないよね。同じように、現段階では、担任の先生を変えることも自分ではできないよね。だったら、そこで悩むことは手放そうよ。時間とエネルギーがもったいないよ。今の状況の中で、自分がコントロールできることだけを扱っていこうよ」
「コントロールできること?」
「そう!自分自身が変えられるもの。自分の考え方とか行動とか。過去も他人も変えられない。変えられるのは、自分と未来だけっていう言葉があるよね」

 Sさんは、少し考え込みました。明確な返答はこの時、ありませんでしたが、担任の先生の悪口は言わなくなりました。
先日、Tさんにこんな質問をしてきました。
「今日、学校で男子にムカつくこと言われて、頭きたけど、笑って受け流しといた。相手は変えられないから、私が大人な対応をしてやった。これって、自分がコントロールできることだけを扱うってことですよね?」

■「分別する」ことを意識して子どもとも関わる

 基本的に、自分の外側のものは、コントロールできません。
自分自身が、現実をどう捉え、どう行動するかだけが自分が扱える領域です。自分がコントロールできないもの、例えば、過去の体験や他者の気持ち、他者の考え、他者の行動、自然現象による影響などは手放し、自分ができることだけを淡々と扱います。

 そのような視点で物事を考えるよう促すと、子どもたちも自分の課題を自分事として捉えられるようになります。ですから、大人のほうも、子どもを自分の思い通りに動かそうとするのではなく、自分がコントロールできることとできないことを分別して、子どもと接するようにしたいものです。

プロフィール

石川尚子

石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。近著『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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