保護者が学校に期待すること・保護者の関わり方

そろそろ受験シーズンです。中学受験が増えるひとつの大きな背景として、公立学校への不信感があると言われています。そこで、今回は2008(平成20)年3月に小・中学生を持つ保護者を対象に行われた「学校教育に対する保護者の意識調査」の中から、保護者が学校に期待することと、保護者の学校への関わり方に関する調査結果を取り上げます。


公立学校に期待する項目の定番と流行

まずは学校に期待する教育や指導内容を聞き、2004(平成16)年度の同様の調査と比較します。

【図1 あなたは、学校にどのような教育や指導を期待しますか(経年変化)】
図1 あなたは、学校にどのような教育や指導を期待しますか(経年変化)
※「とても期待する」+「まあ期待する」の合計


●「基礎学力」「学ぶ意欲向上」「社会性の育成」は期待値が9割を超える定番
2004(平成16)年と2008(平成20)年ともに9割以上の保護者が望むのが上記の内容。公立学校に求められる定番の項目と言えます。

●期待値が上がってきたのは「食や健康」「将来の進路や職業」の指導について
経年で見て変化があったのは、期待値が5ポイント以上アップした「食や健康について教える」と「将来の進路や職業について考えさせる」の2項目。近年の食の安全に関する事件や事故の増加、あるいは食育の推進も関係あると考えられます。進路や職業の指導への期待は、フリーターや就職率の低下が社会問題となっていることと関連があるかもしれません。
逆に5ポイント下がったのが「コンピュータを使う力を育てる」の項目。家庭へのパソコンの普及で、わざわざ学校に期待する必要を感じなくなったのかもしれません。


小学校に期待するもの、中学校に期待するもの

今度は、期待する項目を子どもの学校段階で比較していきます。

【図2 あなたは、学校にどのような教育や指導を期待しますか(学校段階別)】
図2 あなたは、学校にどのような教育や指導を期待しますか(学校段階別)
※「とても期待する」の%


●小学生保護者の期待値が高いのは「社会性の育成」や「生活習慣」
「基礎学力」は学校段階と関係なく期待する項目のトップ。それに続くのは小・中学生ともに「道徳や思いやり」「社会のマナーやルール」ですが、小学生の保護者のほうが10ポイント以上、「規則正しい生活習慣」は約7ポイント高くなっています。

●中学生保護者の期待値が高いのは、「受験に役立つ学力」と「使える英語力」
一方、中学生の保護者の期待値が大幅に高くなるのは「受験に役立つ学力」と「実際の場面で話せる英語力」の2項目。中学校になると高校入試があるので、受験に役立つ学力をつけてほしいというのは、保護者の切実な願いと言えるでしょう。


学校に情報公開はしてほしいけれど、学校運営参加は5割以下

さらに、保護者が学校公開や学校参加にどんなことを望んでいるか見てみます。

【図3 学校公開・学校参加の希望(経年変化)】
図3 学校公開・学校参加の希望(経年変化)


●9割以上の保護者が「子どもの様子や、学校の教育方針を積極的に伝えてほしい」
95%以上の保護者が「子どもの学校での様子を伝えてほしい」と望んでいます。続いて、「教育方針を伝えてほしい」「保護者が気軽に質問・相談できるようにしてほしい」も約9割で、保護者が学校とのコミュニケーションを望んでいることがわかります。

●学校運営に直接参加する項目は5割以下
しかし、実際に学校運営に参加するような項目、「保護者がボランティアで学校を支援するしくみを作る」「学校の教育方針を保護者の代表が参加する委員会で決める」は5割を切っています。


保護者からの働きかけは少ないのが現状

最後に、保護者が「1年間で学校に行った回数」と「学校にどのようなことを協力しているか」を聞いてみました。

【図4 この1年間で学校に行った回数】
図4 この1年間で学校に行った回数


【図5 学校にどのようなことを協力しているのか】
図5 学校にどのようなことを協力しているのか


●1年間に学校に行く回数は「3~5回」がトップ
小・中学生の保護者ともに、最も多い回数は「3~5回」ですが、小学生の保護者の5割以上が、年間に6回以上学校に行っています。これに対して、中学生の保護者の場合、「2回以下」+「3~5回」で7割になります。

小学生の保護者は、機会があれば積極的に学校へ足を運んでいるようです。一方、中学生の保護者は、子どもとの関わりかたも小学生の時とは異なり、学校へ足を運ぶ機会も減るようです。

●学校に協力しているのは「PTA役員」3割と「学区内の安全巡回」6割
「PTAの役員」や「学区の安全を守る巡回活動」は、順番に役目が回ってくるものだけに、当然ながら協力する割合も高くなっています。一方、「学校の教育方針や目標を決める委員会への参加」「授業での教師のアシスタント」など、保護者のほうから積極的に働きかけるものへの協力は1割程度となっています。


「学校には多方面にわたって期待。学校の方針や子どもの様子をきちんと伝えてほしい」……ならば、保護者もできる範囲で協力を

保護者のかたも忙しく、学校の運営に関わったり、ボランティアに参加したりするのは難しいというのが現状。「学校運営の方針はお任せしますけれど、どうなっているかはきちんと教えてほしい」と考える保護者が半数以上を占めていることがわかります。

しかし、学校への期待は学力向上だけにとどまらず、社会性や生活習慣の獲得など多岐にわたっています。学校だけでできることには限度がありますから、保護者のかたができる範囲で学校に協力し、学校を盛りたてていければよいですね。それに、学校でお母さんを見つけた子どもは照れながらもうれしそう。ぜひとも、学校に行く機会などは逃さず、学校と関わりあってほしいと思います。


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