2016年の教育、新テストと次期指導要領の姿いよいよ‐渡辺敦司‐

新しい年を迎えました。教育をめぐる今年の注目点は、何といっても、新テスト創設など大学入試をはじめとした「高大接続改革」と、次期学習指導要領の改訂をめぐる「教育課程改革」の論議が、いよいよ大詰めを迎えることです。二つの改革が両輪になった「明治以来の大改革」(下村博文・前文部科学相)の姿が、ようやく見えてきそうです。

まず高大接続改革ですが、有識者による「高大接続システム改革会議」が、大学入試センター試験の後継である「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)の具体的な制度設計などを検討しており、3月末に最終報告をまとめる予定です。それまでには、どんな問題を出すのかの「作問イメージ」も確定していることでしょう。
新テストについては、大学入学者選抜に耐え得るレベルの思考力・判断力・表現力を問うペーパーテストを開発するという難題だけに、検討作業は難航しているようです。しかし馳浩文科相は、一部報道にあった「先送り」を否定し、「高大接続改革実行プラン(外部のPDFにリンク)」の工程表に示されたスケジュールどおりに改革を進行したい考えを強調しています。
4月以降は有識者会議の手を離れ、文科省当局による「新テストの実施方針」の検討に移っていくことになるでしょう。実施方針では、出題内容や範囲、プレテスト(模擬試験)の内容なども明らかにするといいます。2017(平成29)年度には「高等学校基礎学力テスト」(仮称)のプレテストに入りたい考えですから、そう時間はないものと見られます。

一方、次期指導要領をめぐっては、昨年10月から中央教育審議会で、学校種別や教科別など22もの専門部会が検討を行っています。正式な答申は来年1月になると見られますが、年内には「審議のまとめ」が行われる予定です。まずは近く、小学校の授業時数の在り方、とりわけ正式な教科となる高学年の「英語」や、中学年から必修化される「外国語活動」をどう扱うかの方針が確定することでしょう。
指導要領に関しては、学習内容や指導方法もさることながら、通知表の原簿となる「指導要録」など学習評価がどうなるかも注目されます。これまでは指導要領の正式な告示のあと、別に有識者会議を設けていましたが、今回は専門部会の中で一緒に検討しています。

新テストの対象となるのは現在の中学1年生から、次期指導要領の対象となるのは小学3年生からですが、それ以上の学年にとっても無関係ではありません。高大接続改革にしても教育課程改革にしても、学んだことを教科や学問分野の中だけにとどめず、社会に出てから活躍できる力にまで高める「コンピテンシー(資質・能力)改革」を目指すものだからです。

では今から何をすればよいかという点については、こちらをお読みください。新年に当たって気持ちを新たにし、今後のお子さんの取り組みに臨んでいってほしいと思います。


プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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