専門学校、社会人の「学び直し」にも期待

文部科学省は、専修学校教育の振興に関する検討会議を設置して、今後の専門学校などの振興に関する総合的な検討を始めました。先に中央教育審議会が、より実践的な職業教育を行う新しい高等教育機関として「専門職業大学」(仮称)などの創設を答申しており、一部の専門学校が専門職業大学に転換することが予想されています。専門学校なども、これから大きな転換期を迎えることになりそうです。

正式な名称は「専修学校専門課程」

まず、学校種の区別について見ておきましょう。1975(昭和50)年に、「専修学校」が制度化されました。専修学校には、高卒者を対象とする専門課程、中卒者を対象とする高等課程(高等専修学校)、入学資格を問わない一般課程の3種類があり、このうち専修学校専門課程を「専門学校」と呼んでいます。

修業年限2年以上で、授業時間数などが一定基準を満たした専門学校の卒業者には、「専門士」の称号と大学編入学資格が、さらに、修業年限4年以上で、一定水準を満たした専門学校の卒業者には「高度専門士」の称号と大学院入学資格が、それぞれ与えられます。専門学校は、大学(大学院含む)、短期大学、高等専門学校(高専)と並んで、高等教育機関に位置付けられています。
この他、専修学校とは別に、1年未満での教育が可能な「各種学校」として、自動車整備学校や外国語学校などがあります。

学校の種類の違いが、おわかりになったでしょうか。2015(平成27)年度の高校卒業者の進路状況を見ると、大学が51.5%、短大が5.1%、専門学校が22.4%で、職業教育を受けたい高卒者の大きな受け皿となっています。

ただ、これから「専門職業大学」や「専門職業短大」などが制度化されれば、専門学校の一部がこれらに転換することが予想され、高校生の進路選択にも大きな影響を及ぼすことも考えられます。

職業ニーズに即応できる特徴を生かし

このため文科省は、専門学校を含めた専修学校全体の振興について議論するため、有識者らによる検討会議を設置しました。また、専修学校は職業ニーズに即応できる自由な教育課程が特徴ですが、その半面、学校ごとの教育の質にばらつきが大きく、玉石混交というのが実態のため、教育の質をどう保証していくかも、検討会議の課題になっています。この他、企業との連携や、地域の高校との連携の推進などが挙がっていますが、特に大きなポイントになりそうなのが、「地方創生につながる学び直し推進」として、社会人の再教育の場とする方向を打ち出していることです。

文科省の資料によると、私立専門学校の社会人学生の数は年々増加しており、2014(平成26)年度には約6万4,000人に上っています。これに厚生労働省などが委託している職業訓練などの事業を含めると、全体で約12万人の社会人が専門学校に在籍していることになります。専門学校の生徒数は約58万8,000人ですから、社会人の学び直しの場として専門学校が大きな役割を果たしていることがうかがえます。この動きをさらに拡大しようというのが文科省の方針の一つのようです。

  • ※これからの専修学校教育の振興のあり方検討会議
  • http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/034/index.htm

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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