自ら身を守れる子に 第2次学校安全計画の焦点は

相次ぐ自然災害に交通事故、不審者対策……。子どもの安全をめぐって、心配なニュースが尽きません。そうしたなか、中央教育審議会の部会では、「第2次学校安全の推進に関する計画」の年度内閣議決定に向けた審議が、徐々に本格化してきています。何が焦点になりそうなのでしょうか。

学校での策定率100%に届かず

学校保健安全法は2008(平成20)年6月、旧学校保健法を改正し、新たに「安全」を盛り込んで、国に学校安全推進計画を、各学校には「学校安全計画」や「危険等発生時対処要領」(危機管理マニュアル)を策定することを義務付けました。同法の施行は2009(平成21)年4月からで、最初の学校安全推進計画を策定しようとしていた矢先に東日本大震災(11<同23>年3月)が起こり、現行の第1次計画は、その教訓も踏まえ、12(同24)年4月に閣議決定されています。

現行計画は2016(平成28)年度までの5年間ですので、17(同29)年度から新しい計画を策定する必要があります。そこで2016(平成28)年4月、馳浩文部科学相(当時)が、中教審に第2次計画の策定を諮問しました。

ただし、全校に義務付けられているはずの学校安全計画の策定率は、2013(平成25)年度末で94.9%、同様に、危機管理マニュアルは95.5%と、ほとんどの学校で策定されているとはいえ、策定していない学校も、ごく一部ですが存在しています。

また、東日本大震災で課題となった、災害時の児童生徒の引き渡しについて保護者との間で手順やルールを決めている学校の割合は、79.4%にとどまっています。しかし今年も4月の熊本地震や、10月の鳥取県中部地震などに見られるように、全国どこでも大きな災害が起こる危険から逃れることはできません。

今年は、通学中に児童生徒が巻き込まれる交通事故も相次ぎました。通学路の安全点検を実施した学校は小学校で99.0%、中学校で92.3%と高いものの、生活安全の観点で実施したのは各88.9%、74.0%、災害安全の観点で実施したのは各74.9%、60.7%にとどまっています。学校安全計画に基づき、あらゆる事態を想定した点検や対策が求められます。

次期指導要領とも連動して

ただ、現実には学校の先生方も、ますます多忙化しています。すべてを学校任せにしていては、実行性ある安全対策はできません。とりわけ震災の場合、学校が避難所となる場合が多いことを考えれば、地域ぐるみで取り組む必要があります。
そして何より、児童生徒自身に、危険予測・危険回避の力を身に付けさせることが重要です。東日本大震災でも、下校後に被災した子どもが多くありました。そもそも24時間のうち、学校で過ごす時間は一部なのですから、どこにいても自分の身は自分で守ることが第一です。その点でも、東日本大震災の時に、岩手県釜石市で多くの子どもたちが自らの判断で行動した「釜石の奇跡」が教訓になります。

折しも2020(平成32)年度から順次実施される次期学習指導要領でも、アクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び、AL)を通じて、自ら判断して行動できる子どもを育成しようとしています。中教審の部会では、将来的には学校安全を独立した教科とすべきだという意見も根強くあります。教科化は無理でも、地域や学校の実情に応じて、危機に対して果敢に行動し、自分や家族、近くの人の命を守れるような人を育てたいものです。

※中教審 学校安全部会(第8期~)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/077/index.htm

※学校健康教育行政の推進に関する取組状況調査(平成25年度実績)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2015/04/01/1289307_10.pdf

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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