読書は今後の学習にも不可欠!

読書の秋です。読書は人生を豊かにしてくれるだけでなく、すべての学習の基盤ともなるものです。スマートフォン(スマホ)などの普及で子どもの活字離れが指摘されるなか、改めて読書の重要性について考えてみましょう。

0歳から5つの発達段階を経て

2001(平成13)年に制定された「子どもの読書活動の推進に関する法律」は、国が基本計画を策定し、その推進を図ることを規定しています。基本計画はおおむね5年ごとに作成され、今年度は第3次計画(2013~17<平成25〜29>年度)の最終年度に当たり、文部科学省は有識者会議を設け、次期計画に向けた検討を行っています。

同会議の資料によると、読書能力には、5つの発達段階があるといいます。最初は、0~3歳の「前読書期」で、文字の存在を意識し、絵本に興味を示す時期です。4~5歳は「読書入門期」で、読み聞かせをせがんでいるうちに仮名が全部読めるようになり、自分で本を読もうとします。6~8歳は「初歩読書期」で、最初は速度が遅いものの、読む習慣がついてくるに従って新しい言葉も推測しながら文意をつかんでいき、自分の考えと比較しながら読むといった創造的な読み方ができるようになっていきます。9~12歳は「多読期」で、何でも読むうちに、理解と記憶がよくなっていき、必要に応じて読むものを適切に選べるようになります。13歳以降は「成熟読書期」に入り、多読の傾向は少なくなりますが、感動した本を何度も読み、論文なども読めるようになっていきます。

タイプに応じた対応を

近年は学校でも、読書が学力に与える影響などに着目して、読書指導に力を入れるところが増えています。その結果、2016(平成28)年度に本を読まない児童生徒の割合は、小学生で4.0%、中学生では15.4%と、現行計画の目標(小学生3%以下、中学生12%以下)に迫っていますが、高校生では57.1%と、逆に目標(40%以下)から離れていっているのが現状です。

高校生に本を読まない理由を聞くと、「他の活動等で時間がなかったから」(64.5%)、「他にしたいことがあったから」(47.3%)、「ふだんから本を読まないから」(32.8%)などが挙がりました。ただし、高校生になって本を読まなくなった生徒と、中学生の時からずっと本を読まない生徒の2種類があり、「ふだんから本を読まないから」と回答した生徒は、中学生までの読書量が少なく、本も好きではないという傾向が見て取れます。先に見た発達段階を参考にして、高校生になるまでに読書習慣をつけてあげる必要があります。一方、高校生になって本を読まなくなった生徒には、限られた時間の中できっかけづくりをしてあげる必要があるでしょう。

現行学習指導要領では、各教科で「言語活動」を重視しています。次期指導要領でも各学年で読書の必要性を強調しており、アクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び、AL)のためにも言葉がますます重要になります。大学入試センター試験に代わる大学入学共通テストでは、記述式問題も導入されます。学習面を考えても、発達段階に応じた読書が不可欠です。

何より「読書活動は、子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないもの」(読書推進法2条)という指摘を、かみしめたいものです。

※子どもの読書活動に関する現状と論点(有識者会議配布資料)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/040/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2017/08/15/1389071_005.pdf

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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