英語が「得意」をさらに増やせ 2020年度には小3から必修!

グローバル化がますます進む社会に出ていく子どもたちにとって、英語が「使える」ことは必須です。2020(平成32)年度から全面実施される小学校の学習指導要領で、3年生から「外国語活動」が必修化される(現在は5年生から)のも、そのためです。
しかし、心配することはありません。近年の英語教育の強化で、少なくとも大人より英語に抵抗感のない子どもが増えているからです。

大人に比べれば増える

インターネット調査会社のGMOリサーチが実施した「英語に関する意識調査」では、15~19歳の未成年と、20~59歳の大人に分けて、英語に対する意識の違いを比較しています。英語が「得意」(「とても」「やや」の合計、以下同様)と回答したのは、成人13.2%に対して、未成年は30.8%でした。

未成年だけ見れば、「得意ではない」が50.3%と半数を占めるため(「どちらでもない」は18.9%)、せっかく小5から外国語教育をしているのに効果がないじゃないか……とも思えます。しかし大人に比べれば、少なくとも英語を得意だと自分で思っている子どもが増えているようです。

同様に、英語に対する苦手意識が「ある」のも、未成年では62.4%を占めますが、成人の67.0%に比べれば減っているという見方もできます。もちろん大きな差ではありませんし、大人にとっての英語と、学校で勉強中の子どもにとっての「英語」には、違いがあるかもしれません。
ただ、諸外国に比べ、日常生活の中で英語を使う機会が少ない日本で暮らす人にとって、英語の苦手意識を克服することは、並大抵ではないでしょう。少なくとも大人に比べれば変化の兆しが表れている……と肯定的に読み取れる結果です。

中学校でも「英語で授業」へ

中学校の外国語科に、「外国語で積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる」という目標が盛り込まれたのは、1989(平成元)年改訂の指導要領でした。全面実施になった1993(平成5)年度の1年生は、現在37歳です。大学入試センター試験に英語リスニングが初めて導入された2006(平成18)年度入試を受けた高校3年生も、30歳になっています。

現行の指導要領(2008~09<平成20~21>年改訂)では、小5から外国語活動が必修化されただけでなく、中学校で外国語の授業が週3コマ(年間105時間)から週4コマ(同140時間)に増やされ、高校では英語で授業を行うことが基本とされるなど、外国語教育が強化されています。それでも中高校生の英語力は目標としたレベルより低い生徒が圧倒的で、「読む」「聞く」「話す」「書く」という4技能のバランスも悪いままです。

そんな状況を改善しようと、新指導要領では「聞く」「話す」の2技能中心の外国語活動を小3からに前倒しし、4技能すべてを扱う教科「外国語」を5年生から導入します。単なる早期教育ではなく、外国人にも物おじしない小さなうちから英語に対する抵抗感を徐々になくしたうえで、中学校から英語で授業をすることを基本とするなど、徐々にパワーアップさせたい考えです。

小学校指導要領の全面実施は、外国人が多く訪れる東京五輪・パラリンピックに合わせたものです。これを契機に、英語が「得意」だと思える子を、さらに増やしていきたいものです。

※英語に関する意識調査
https://gmo-research.jp/pressroom/survey/voluntary-survey-20170929

※新学習指導要領
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/index.htm

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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