入試改革は共通テストだけじゃない 推薦・AOも大幅に変わる

大学入試センター試験も、ようやく終わりました。大学入試改革により2020年度(21年度入試)からセンター試験が大学入学共通テスト(共通テスト)に替わることは、多くのかたが知っていると思います。
ところが、入試改革はこれだけではありません。やはり2020年度から推薦入試が「学校推薦型選抜」、AO入試が「総合型選抜」に、それぞれ変更されることになっています。現在、私立大学入学者の半数以上が、推薦・AO入試で入学しており、推薦・AO入試の改革の影響は意外と大きそうです。

知識や思考力などの評価を必須化

保護者の世代では、推薦・AO入試といっても、あまりピンとこないかたも多いかもしれません。しかし現在では、国公私立大学入学者全体の44.3%、私立大学のみだと51.2%が推薦・AO入試により入学しています。今や推薦・AO入試は、一般入試と並ぶ存在なのです。
しかし一部では、入学者を早めに確保したいという思惑から、簡単な書類審査のみで合格させる「学力不問入試」になっている……との批判もあります。そのため文部科学省は、2020年度から推薦入試を「学校推薦型選抜」、AO入試を「総合型選抜」と名称変更して、改革することにしました。
最も大きなポイントは、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」という、学力の3要素のきちんとした評価です。現行の文科省の大学入試実施要項では、推薦入試は「原則として学力検査を免除」するとしていますが、2020年度からの学校推薦型選抜では、実施要項からこの記載を削除することになりました。そのうえで、「小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績」または「共通テスト」のうち、「少なくともいずれか一つの活用を必須化する」としています。

合格から入学までの間に大学で「準備教育」を

一方、「総合型選抜」となるAO入試でも「知識・技能の修得状況に過度に重点をおいた選抜とせず」という記述が実施要項から削除され、学校推薦型選抜と同様に「小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績」または「共通テスト」が必須化されます。総合型選抜は「公募制」であるため、高校の推薦書類などは必要ありませんが、代わりに「大学入学希望理由書」や、大学でどんなことをしたいかを示した「学修計画書」など、本人が記載する資料が重視されるようになります。
学生の早期確保の動きを防止するため、入試日程も約1か月後ろ倒しされます。総合型選抜は出願が「9月以降」(現行8月以降)、合格発表が「11月以降」(現行は規定なし、ただし42%の大学が10月以前に発表)、学校推薦型選抜は出願が「11月以降」(現行と同じ)、合格発表が「12月以降」(現行は規定なし、ただし42%が11月に発表)となります。さらに文科省は、合格発表から大学入学までの間に、大学での勉強に必要な「入学前教育」を「積極的に講ずる」ことを大学入試実施要項に盛り込む予定です。
秋には合格通知、あとは大学入学までのんびり……というスタイルは、もう過去のものとなり、推薦・AO入試でも知識とともに思考力などが求められることになりそうです。

(筆者:斎藤剛史)

※大学入学者選抜改革について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/07/__icsFiles/afieldfile/2017/07/18/1388089_002_1.pdf


2019年11月1日、文部科学省より2020年度(令和2年度)の大学入試における英語民間試験活用のための「大学入試英語成績提供システム」の導入を見送ることが発表されました。

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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