よい読書感想文とは? 保護者はどうかかわればいい?

夏休みの宿題の中でも、苦手な子の多い読書感想文。
今回は、よい読書感想文を仕上げるためのコツや、保護者のかかわり方について、『読書感想文書き方ドリル2018』の著者で思想家・教育家・作家の大竹稽さんに伺いました。

独自の「視点」「切り口」が感想文の決め手

本の感想を子どもに聞くと、とりあえず「すごい」とか「ヤバい」としか言わないことがよくあります。たとえば、織田信長を題材にした物語なら、「信長はすごい人だと思います」に、「私も信長のような人になりたいと思いました」等をつけ加えて終わり、というパターンになりがちですが、これでは人に興味を持って読んでもらえる感想文にはなりません。

「読ませる」文章にするためには、自分なりのテーマや「視点」(切り口)が必要です。信長をビジネスの革新者とみてもいいし、国の存亡を背負ったリーダーとみてもいい。あるいは、物語を父と子の関係で読み解いたり、時代になじめなかった「野生児」の視点で読むこともできるかもしれません。
ある切り口から本を読み解き、自分なりに考えを深めていくことで、その子にしか書けない作品が生まれるのです。

たとえば、同じ「すごい」という感想でも、どこをすごいと思ったかは子どもによって違います。また、手放しの賞賛であったり、「すごいけど、ここはちょっと嫌」という違和感が混ざっていたりとニュアンスも異なります。
子どもたちは、直感的にさまざまなことをつかみ取る力に長けていて、一見とりとめのない感想でも、じっくり話を聞いていくと、その発想力や問題提起の鋭さに驚かされることも少なくありません。子ども一人ひとりの発想を引き出し、「読ませる」文章になるよう整理していく過程には、大人のかかわり方も大切なのです。

読書感想文に必要な3つの力は、一生ものの学力の根幹!

読書感想文を仕上げるには、本を「読む」、「考える」、「書く」の3つの力が必要です。この3つは学力の根幹といえ、大人になるまでに必ず身につけておきたい力でもあります。しかし、これらは大人が答えを教えてしまっては身につきません。だから、時間も手間もかかります。

読書感想文を書く作業は、おいしいカレーを作るのと似ているかもしれません。下ごしらえをしっかりすることと、ゆっくりと煮込んでおいしくなるまで「待つ」ことがとても大切です。
材料を見つけてくるのも、実際に料理するのも子どもだけれど、大人は良い具材がとれるよう畑に水や肥料をあげたり、材料の選び方や調理の手順をアドバイスすることはできます。この機会に、一冊の本を材料として、お子さまとじっくり向き合ってみませんか。

子どもの考えを引き出すには? とにかくじっくり

とにかく、お子さまの考えを、興味を持って聞いてあげてください。「何を言っても大丈夫、面白がって聞いてもらえる」と思えれば、子どもも自信をもって意見を言えるようになります。
そのとき、大人が先に「答え」を言わないこと。たとえ「それは違うのでは?」と思っても否定しないことが大切です。感受性の鋭い子ほど、大人の反応を肌で感じて、大人が求めている「答え」を先回りして言うようになり、自分の考えを口にしなくなる傾向があります。むしろ、大人が「え?」と思うような感想のほうが、よく話を聞いて引き出してあげると深い問題意識に行き着くケースが多いのです。
「早く」「無難に」まとめようとせずに、子どもの意見が出てくるまで辛抱強く待ち、「その考え方、おもしろいなあ」「それ、どういうこと?」というふうに、お子さまと対話を楽しんでみてください。そうすれば、この子、こんなふうに考えていたのか! とびっくりするような発見があるかもしれません。

プロフィール

大竹 稽

思想家、教育家、作家。東大で医学を学ぶも疑問を感じ退学、私塾を始める。東大大学院に再入学しフランス思想を研究。現在は私塾で作文等を教えながら、共生や死の問題に挑んでいる。編著書に『賢者の智慧の書』『めんどうな心が楽になる』『つながる仏教』『ニーチェの悦び』等。

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