「将来の仕事」にどう備えるべきか

「第4次産業革命(ソサエティー5.0)」と呼ばれる社会の劇的な進展の中で、子どもたちの多くが今はない職業に就く可能性が高いことが、国内外で指摘されています。そうした社会を迎えるに当たっては、学校教育で身に付けるチカラにも変化が求められます。
「将来の仕事」に、どう備えればよいのでしょうか。

求められるスキルが二極化

2018年度の「経済財政白書」は、副題を「今、Society5.0の経済へ」としました。人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)、ビッグデータなどの技術革新によって生活や経済が画期的に変わる一方、少子高齢化で生産年齢人口が縮小する中で、働く人には時代の変化に対応したスキルが求められるという観点からです。
白書では、技術革新によって、マニュアル通りにすればこなせるような「中スキル」(事務補助員、技能工など)の業務の雇用は減少していき、「低スキル」(サービス・販売、単純作業など)と「高スキル」(管理職、専門職、技師など)の業務に二極化が進んでいくと予想しています。
中スキル業務がAIなどの機械に代替されていくのに対して、人間にしかできない低・高スキル業務が残っていくからです。米国やドイツなどと比べ、まだ日本はIT(情報技術)の活用が進んでいませんが、それが生産性を押し下げる要因ともなっています。

白書では、これからの人材に求められるスキルとして、▽創造力▽マネジメント能力▽分析力・思考力▽コミュニケーション能力……などが強まっていくと予測しています。今後は学校教育で「読解力等の基礎的な能力に加え、適切な分析・伝達ができる能力や、ITの専門人材の育成等がより重要になってくる」と指摘。また、学校卒業後も、変化に対応した「社会人の学び直し」(リカレント教育)の重要性が高まってくるとしています。

技術を活用して新指導要領実施へ

こうしたことは、新しい学習指導要領(小学校は2020年度から、中学校は21年度から、高校は22年度入学生から順次、全面実施)でも目指していることです。そこでは情報活用能力も、あらゆる学習の基盤として位置付けられています。
さらに文部科学省の「Society5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会」報告は、今後取り組むべき政策の方向性として、(1)「公正に個別最適化された学び」を実現する多様な学習機会と場の提供(2)基礎的読解力、数学的思考力などの基盤的な学力や情報活用能力をすべての児童生徒が習得(3)文理分断からの脱却……を挙げています。今後、各学校で新指導要領の趣旨を実現するに当たっても、こうした観点からの実施が期待されます。
一方、経済産業省の「『未来の教室』とEdTech研究会」は第1次提言で、教育に技術を活用したEdTech(Education+Technologyの造語)によって、民間教育や公教育の姿を変えることを提案しています。

これまで高く評価されてきた日本の学校での学びを大事にしつつも、新たな技術革新の時代に向けてカスタマイズしていく……。そんな教育が今後、ますます求められそうです。そして、その必要性を最前線で感じているのが、今の保護者世代ではないでしょうか。

(筆者:渡辺敦司)

※2018年度経済財政白書
http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je18/index_pdf.html

※新学習指導要領のポイント等
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1384662.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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