意外と知らない!? 日本ならではの開発途上国への協力とは?

グローバル化が進む社会で、私たちは世界との相互依存関係を深めています。今後一層グローバル化が進む中で豊かに生きていくために、子どもたちはどんなことを知り、学び、身に付けていけばよいのでしょうか。
今回は、意外と知られていない日本ならではの開発途上国への協力についてお伝えします。

途上国への協力は「持続」と「開発」がキーワード

JICA(国際協力機構)は途上国の社会経済への開発協力をする独立行政法人です。途上国への協力と一口に言ってもその活動は多岐にわたっています。途上国が抱えるさまざまな課題解決に向け、技術協力・有償資金協力・無償資金協力という3つの援助手法を一元的に手がけています。
少し前まで途上国への協力というと、教育の受けられない子どものために学校を建てたり、医療施設のない地域に病院を作ったり、必要なモノやお金を寄付したりするというイメージがあったかもしれません。こうした寄付やチャリティーは、どうしても依存を生んでしまうもの。そのときどきの<施し>に終始してしまうと、途上国の人はいつまでたっても経済的にも社会的にも自立できなくなってしまうのです。
そこで、JICAの協力活動の特徴は、「持続」と「開発」を大きなキーワードとしています。

現在、JICAの農村開発部門では、アフリカの栄養不足人口が減少せず長期的な課題となっていることに着目し、農業と食料の協力を強化しています。食料不安の問題は、紛争や気候変動、経済的な問題など複合的な要素がからみあい、すぐには解決できない問題です。ただ単純におなかがいっぱいになればよいというわけでなく、栄養に配慮をしたバランスの取れた食事で健康的な生活を維持していく必要があります。
たとえば、病気や不調に対して施される保健サービスの場合、今症状が出てきている人たちに対して医療や薬・サプリメントを提供することになりますが、必要な栄養素のある食物を継続的に摂取しなければ、健康は維持できません。こうしたことからも、まずは自ら口にする作物を得るために、継続的にできる農業や食料の事業を展開しよう……というのが現在の動きです。

途上国の生活改善への協力も「持続」と「開発」が肝だった

JICAは今までにも、「持続」と「開発」に焦点を当てた活動をしてきました。
たとえば、日本の戦後の農村開発を参考にした「生活改善」です。
戦後日本の台所で使われていたかまどはひざを床につけた状態でまきを燃やしたり、しゃがんだ体勢で調理をしたりしなければならず、使う人、特に女性にとっては重労働でした。かまどの口が一つしかないことも多く、非常に不便です。
そこで、農村部に派遣された支援員と一緒に、使う人自身が「どうしたら使いやすくなるのか」「自分の家庭の事情に合った使い方ができるようにするにはどうすればよいのか」を考えながら改善を繰り返してきました。今まで熱の効率が悪かったり火力が不十分だったりしたものが改善されると、薪の使用量が減り、薪集めの労働負担や購入量が減ります。
それまで時間がかかっていたものが短い時間で調理できるようにもなり、調理のしかたが変わります。かまどの口が一つから二~三つに増えると、複数のおかずを同時に調理できるようにもなりました。
また、伝統的なかまどでは使いにくかったフライパンも、かまどを改善したことで使いやすくなりました。フライパンが使えるようになると、炒め料理を作ることができるので、それまでご飯とみそ汁、漬物だけだった食事にプラスして、野菜と肉類、卵などを組み合わせて油脂が取れるようになります。こうして炭水化物に偏っていた食事のバランスがだんだんと整っていったのです。

JICAでは、このような日本が経験してきた手法を途上国の農村開発でも取り入れ、青年海外協力隊などとともに、「自分たちで考えてよくしていこう」ということを伝えるようにしています。
この協力では、家庭ごとにどんなものが使いやすいか考えながらかまどを作りますから、家庭によってそれぞれ違う台所が作られます。また、家庭だけでなく、地域ごとに使える資材や職人の技術に違いがあるため、村によっても設備が違います。あくまでも現地にある物と技術、そして人を使うことで、持続的な生活の安定をはかっているのです。
いわば、最終的な目的はかまどを作ることではなく、かまどを作る過程で何が必要なのかを考えて、問題があったらどのように解決したらよいのか、自らの力で考えるという思考を持つことが、次の課題解決と発展につながっていくと考えています。

かまどや台所の改善に限らず、こうした技術協力には、現地の人との距離感を測りながら、どうコミュニケーションを取り、お互いに理解をして事業を展開していくかが大きな課題となります。日本の協力では、一方的に物資や技術を置いて帰ってくるということではなく、青年海外協力隊のように現地の人と一緒に生活しながら働く、また、このよう視点を持って対等な関係で協力し合うというのが特徴です。国際協力という面からも、相互理解のためのコミュニケーション能力がこれからますます必要になってくるそうです。

関連HP 
農業開発/農村開発 https://www.jica.go.jp/activities/issues/agricul/index.html

取材協力:JICA(国際協力機構)

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