EdTechって何ですか?

EdTech(エドテック)をご存じでしょうか。教育(エデュケーション)と技術(テクノロジー)の融合によって教育のあり方を変えていくことや、その技術、ビジネス市場を指す新しい言葉です。経済産業省は、学校での実証プロジェクトを通してEdTech導入を促進しようとしています。どのような学び方や授業が始まるのでしょうか。

テクノロジーが教育を変える

EdTechの発祥は、2000年代中ごろのアメリカで、デジタル技術を活用して、教育分野に従来にない変革を起こすことを言います。EdTechは、学校に通わなくてもオンラインで無料授業を受けられるサービス「カーン・アカデミー」の登場で一躍有名になり、ヨーロッパやアジア諸国でも広がりを見せています。日本では、経済産業省が有識者による研究会を開き、6月に第1次提言をまとめたところです。
提言では、EdTechを活用して創造的な課題発見・解決力を育む1人の中学生の姿を、次のようにイメージしています。

農業高校で農業にAIを活用する探究プログラムに参加した中学生Aさん。企業のエンジニアや研究者とオンラインで会話するうちに、ますます興味を持ち、理科をもっと学ぼうと塾の講義動画を見たり、学校で先生に質問したりする。「もっと知りたい」という気持ちが強くなったので、興味がなかった理科も、最近では楽しくなった……。
この例では、「先生」に当たる人は学校の理科の先生だけでなく、オンラインでつながった社会人や塾の先生も含まれます。学ぶ場所や内容も学校に縛られず、ネット空間に広がっています。EdTechは、テクノロジーを教育に活用すれば学習内容や教師、学ぶ場所が自由に選べ、誰もが自分に適した学び方ができる、という考えに立っているのです。

民間と学校が連携してサービスを検証

 提言は、2030年ごろまでには当たり前であってほしい学びの社会システムとして▽学習者が「自分に最適な、世界水準のプログラム」と「自分に合う先生」を幅広く選べる▽探究プロジェクトで文理融合の知を使い、社会課題や身近な課題の解決を試行錯誤する▽教科学習は個別最適化され、「もっと短時間で効果的な学び方」が可能になる……などとしています。
 EdTechが活発になるには、それを支える教材や学習プログラムなどの開発が必要ですし、効果や課題を明らかにする必要があります。経済産業省は今年7月から実証事業を開始し、その取り組みを紹介するポータルサイトも開設して、情報提供を始めました。2019年度は、概算要求に18億円を計上して、取り組みを強化する予定です。

 実証事業で用いられたEdTechが、すぐにどの自治体や学校にも導入されるわけではありません。しかし、オンラインでの英会話レッスンや、タブレットを使った受験対策の学習サービス、保護者と学校をつなぐSNSサービスや成績管理システムなどのEdTechは、私たちの身の回りに広がりつつあります。学校のICT環境も、地域格差が課題ではあるものの、2020年度からの新学習指導要領実施に向けて、徐々に整いつつあります。
 新たなサービスを開発する民間企業と学校や地域とのコラボレーションで、どのような新しい教育が可能なのか、注目していきたいところです。

(筆者:長尾康子)

※経済産業省 「未来の教室」とEdTech研究会-第1次提言
http://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/mirai_kyoshitsu/20180625_report.html

※未来の教室 ポータルサイト
https://www.learning-innovation.go.jp/

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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