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テレワークとは
どんな勤務形態?
関連性のある言葉も
合わせて解説

近年では一人ひとりに合わせた柔軟な働き方が注目されており、テレワークを導入する企業が増えています。この記事ではテレワークのメリットやデメリットをご紹介します。テレワークについて詳しく知りたい方、導入を考えている方は是非参考にしてみてください。

テレワークとは何か

テレワークとは何か テレワークとは何か

テレワークとは「tele(離れた所)」と「work(働く)」の造語であり、ITC(情報通信技術)を活用して時間や場所にとらわれずに働ける勤務形態です。

2019年4月から法令が順次施行されている働き方改革では、労働者が個々の事情に合わせて不自由を感じることなく働ける社会づくりを目指しています。柔軟性と多様性をあわせ持つテレワークは、新しい働き方として注目が集まっています。

また、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、テレワークを導入する企業が増えています。

出典:「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html

■テレワークの発祥はアメリカ

テレワークの歴史は、1970年代のアメリカにさかのぼります。

ロサンゼルス周辺で問題となっていたエネルギー危機、自動車通勤による交通量混雑や大気汚染を緩和するためにテレワークがはじまったとされています。

その後、カリフォルニア州では1994年のノースリッジ地震を経て、大規模災害に対応するために在宅勤務やテレワークセンターを利用する企業が増えました。

出典:テレワーク(Telework)|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/iten/service/newsletter/doc/i_02_69_key.pdf

■日本で初めて採用された事例は1984年

日本で初めてテレワークが導入されたのは1984年です。

1984年から90年にかけて、日本電気株式会社(NEC)が東京吉祥寺にサテライトオフィスを設置しました。

結婚や出産を機に退職する女性が増える中、プログラマーを中心とした優秀な女性社員が働き続けられるよう、比較的通いやすい吉祥寺にオフィスを設けて出勤の負担を軽減したといわれています。

出典:テレワークの動向と生産性に関する調査研究報告書|総務省
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h22_06_houkoku.pdf

■SDGsが目指す「働きがい」のある労働環境の促進にもテレワークが役立つ

SDGsの「目標8.働きがいも経済成長も」とテレワークの関係

世界中の人がこれからも豊かに暮らし続けていくための世界共通の目標として、2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)では、「目標8.働きがいも経済成長も」という目標で、労働環境の改善に触れています。

持続可能な経済成長のためには、世界中で「働きがいのある人間らしい雇用」が重要といわれています。働きがいのある雇用とは、誰もが適切な労働時間と賃金で、ハラスメントや差別を受けることなく安心して働くことができ、必要な社会保障をきちんと受けることができる仕事のことです。

このような働きやすい職場をつくることは、企業側にとっても働き手を確保し、生産性を上げることが期待できるため、世界の企業の間で、働きやすい職場となるように労働条件や職場の環境を整える動きが広まっています。こうした状況の中、注目が集まっているのがテレワークという働き方です。

時間や場所にしばられずに働くことができるテレワークは、通勤の負担を軽減したり、より柔軟な働き方を選んだりできるため、働き手にとっても自分らしい働き方を選ぶことができます。働き方の選択肢が増えることで、働き手一人ひとりが「働きがい」を感じる仕事を見つけるために役立つと言えるのです。

コロナショックでテレワークの必要性が高まる

2020年から始まった新型コロナウイルスの世界的な流行は、テレワークが再度注目されるきっかけとなりました。感染拡大防止のため外出の自粛が要請される中、日本でもテレワークを実施した企業は全体の3割程度になると見られています。

2020年5月の緊急事態宣言解除後にはオフィスでの仕事を再開した企業もあり、今後、テレワークが広く定着するかどうかは流動的ですが、新型コロナウイルスのような未知の感染症が再び流行することも充分考えられますし、ここ数年は地球温暖化の影響で今までにない災害が多発していて、いつ通勤できない状態になってもおかしくありません。

ふだんからテレワークを行っていれば、大規模な災害やパンデミックが起きて通勤できなくなったときにも、スムーズに仕事を続けることができます。こうした事業の継続性を確保するという意味でも、テレワークの必要性が多くの人に認識されたことは確実だといえるでしょう。

テレワークを行う
メリット8つ

テレワークは、企業にも労働者にもメリットのある勤務形態です。

2018年までの総務省による「通信利用動向調査」では、2017年から2018年にかけてテレワークを導入した企業が急増しています。また、緊急事態宣言下において、一時的にテレワークに切り替える企業も多く見られました。

テレワークを行うメリットを8つご紹介します。

出典:導入状況の推移|厚生労働省
https://telework.mhlw.go.jp/telework/trs/

■通勤時間の削減

テレワークにおいて特に大きなメリットが、通勤時間の削減です。

総務省の「平成29年通信利用動向調査」では、テレワーク導入目的に対する回答は「勤務者の移動時間の短縮」が最多でした。

在宅勤務の場合は通勤時間がゼロになり、満員電車や渋滞を避けることができます。また、家庭の事情でオフィスから離れた場所に転居した場合、育児や介護がある場合などに仕事を継続しやすくなります。

出典:テレワークの動向と課題について|総務省
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000048.html

■人材不足の解消

テレワークは、人材不足の解消に有効です。

近年では、中小企業を中心に人材不足の傾向が見られます。時間の融通がきくテレワークなら、様々な事情を抱えた労働者が柔軟に働けるため、人材確保に効果的です。テレワーク導入後に、新卒の応募が飛躍的に増えた企業もあります。

厚生労働省ではテレワークを推奨しており、良質なテレワークの新規導入・実施によって人材確保・雇用管理改善において効果をあげた中小企業に対し、助成金を支給しています。

■あらゆるコストの削減

テレワークを導入することで、様々なコストを削減できます。在宅勤務者が多い企業なら、広いオフィスが不要となり賃料を抑えることが可能です。

オフィスの省スペース化にともない、固定席を持たずに空いている席で自由に仕事ができるフリーアドレスも取り入れやすくなります。その結果、光熱費やオフィス備品、各従業員にかかるコストの削減に繋がります。

そのほかにも、交通費や残業代の削減も図れます。テレワーク導入にあたって設備環境のための投資が必要ですが、長期的に見ればコスト削減に有効です。

■生産性の向上が見込める

生産性の向上が期待できます。生産性とは、労働力や設備などの資源から生み出される成果や付加価値を数値化したものです。

モバイルワークを取り入れている場合、外出が多い営業職の生産性の向上に有効です。移動中や商談前の空き時間を利用して、外出先での業務が可能になります。取引先からの問い合わせにもオフィスに戻らずに効率的に対応できるため、生産性の向上に繋がります。

■優秀な人材の流出を防ぐ

テレワークによって様々な人が働きやすい環境を整えることで、優秀な人材の流出を防ぐことができます。

結婚や出産、転居によって従来の条件で働くことが難しくなることがあります。テレワークは時間や場所にとらわれずに柔軟に働けるため、離職率の低下に効果的です。

■地方などでの雇用確保

オフィス近隣に限らず、地方在住者の雇用が可能です。

在宅勤務なら、オフィスまでの通勤が難しいという遠方に住む人でも働けるため、雇用の幅が広がります。また、家庭の事情で地方に移住した場合でも、離職せずに働き続けることができます。

■ワークライフバランスの確立

ワークライフバランスとは、「仕事と生活の調和」を意味します。すべての国民がやりがいや充実感を感じながら仕事の責任を果たし、家庭や地域生活において多様な生き方を選択できるものとされています。

柔軟で多様な働き方が可能なテレワークでは、労働者のワークライフバランスの確立に役立ちます。

■多種多様な働き方が可能になる

個々の事情や環境に合わせた多種多様な働き方が可能になります。

在宅勤務では通勤時間が短縮される分、余暇時間が増えます。休息や家族との時間にあてたり、育児や介護との両立がしやすくなったりと、柔軟に働けるメリットがあります。

テレワークを行う
デメリット5つ

テレワークは、メリットばかりではなくデメリットもあります。

ここでは、テレワークを行う上でのデメリットを5つご紹介します。デメリットを理解した上で、業務の進め方や管理体制の見直しや改善が必要です。

■時間の管理が甘くなりやすい

テレワークは、基本的に一人で仕事をするため時間の管理が甘くなりやすい傾向があります。

監視の目がないため、離席時間が長くなったり、労働時間と休憩時間の区別が曖昧になったりするケースが考えられます。

また、テレワークと同時にフレックスタイム制を導入している場合は、勤怠管理が複雑化します。労働者自身による適正な管理体制が求められます。

■気持ちの切り替えが難しい

テレワークは自由度が高い分、オン・オフの切り替えが難しい面があります。

生活と仕事場が同じ空間にあるため、プライベートとの区別が付きにくくメリハリがない、ついスマホをいじってしまうというデメリットがあります。

集中できずにダラダラと取り組んだ結果、仕事が終わらずに長時間労働になってしまうこともあります。

■環境整備に手間がかかる

従業員が自分で準備しなければならないため、環境整備に手間がかかります。

企業調査では、テレワークを実施した際の課題として、「ネットワーク環境の整備」、「PC・スマホ等機器の確保」が挙げられました。

自宅にネットワーク環境が整備されていない、持ち出し可能なPCやリモートツールがないという理由でテレワークができない従業員が出てくるケースがあります。

打ち合わせや書類のやりとり、ペーパーレス化など、テレワークの移行に際して社内体制の改善・見直しが必要です。

出典:テレワークを巡る現状について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000662173.pdf

■社員の作業状況が確認できない

テレワークは各々が離れた場所で仕事するため、相手の作業状況が確認できないというデメリットがあります。

連絡手段もオンラインのため、指示が正確に伝わりにくい、従業員同士の連携が難しいといったコミュニケーション不足が起こる可能性があります。

■情報漏洩の心配

テレワークでは、従業員のPCから社内ネットワークにアクセスすることから、情報漏洩の心配があります。

ウイルス感染や不正アクセスなどの可能性が高くなり、セキュリティ面で問題が生じます。
そのため、情報セキュリティ面に気を配りテレワーク時のルールを周知徹底させることが重要です。

テレワークと
関連性のある言葉6つ

テレワークの普及に際し、類似する言葉も耳にするようになりました。それぞれの意味や内容をしっかり理解しましょう。

ここでは、テレワークと関連のある言葉を6つご紹介します。

■サードプレイスオフィス勤務

サードプレイスとは、自宅(ファーストプレイス)や学校・職場(セカンドプレイス)から離れた居心地のよい第3の場所を指します。

サードプレイスオフィス勤務とは、自宅や本来のオフィス以外に勤務することです。

サテライトオフィス、複数の企業や個人が空間を共有するシェアオフィスなどで働くことがサードプレイスオフィス勤務に当てはまります。

■在宅勤務

在宅勤務は、自宅を拠点に働く内勤型テレワークです。

通勤の必要がないため、余暇時間が増えて生活との両立がしやすい、通勤疲れから開放されるといったメリットがあります。

■モバイルワーク

モバイルワークとは、ノートPCやタブレット、スマホを使って外出先で仕事をする外勤型テレワークです。

移動時間や待ち時間を業務にあてられるため、外出の多い営業職や経営陣に有効とされています。直行直帰が可能でオフィスに立ち寄る時間を削減でき、生産性の向上にも繋がります。

■リモートワーク

リモートワークとは、オフィスから離れた場所で仕事をすることです。

在宅勤務やテレワークと同義語として使われることがあります。正確には、在宅勤務の就業場所が自宅なのに対し、リモートワークはカフェやホテルなど自宅以外の場所も含みます。また、公的にはテレワークという用語を使用することが多いです。

■ワーケーション

ワーケーションとは、「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」の造語です。

テレワークを活用することで、自宅や職場から離れた観光地やリゾート地で仕事をしながら、その地ならではの活動を行うことをいいます。心身ともにリフレッシュできることから、新しい生活スタイルとして注目されています。

■サテライト・コワーキング

サテライトとコワーキングは、テレワークの一種です。

サテライトオフィスは、本拠地の建物とは別に設けられたオフィスです。郊外に住む労働者の雇用、通勤時間の削減に効果的です。また、コワーキングスペースと呼ばれる共用型サテライトオフィスもあります。

近年耳にすることが
多くなった
テレワークの理解を
深めましょう

テレワークが広まることで何が変わる? テレワークのメリットやデメリット テレワークが広まることで何が変わる? テレワークのメリットやデメリット

テレワークは国によって推奨されており、働き方改革や新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からも有効とされている働き方です。

ここでは、テレワークの概要やメリット・デメリットをご紹介しました。

柔軟で多様な働き方が求められている近年において注目されているテレワークについて理解を深めましょう。

【この記事に関連する目標】

※他の目標とも関連していますが代表的なものをあげています。

[参照元]

『テレワークを有効に活用しましょう』(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/000777425.pdf

『「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について』(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html

『ニューズレター「新時代」Vol.69』(国土交通省)

https://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/iten/service/newsletter/doc/i_02_69_key.pdf

『地域企業に学ぶ地域企業に学ぶ 平成30年度 テレワーク実践事例集』(総務省)

https://www.soumu.go.jp/main_content/000573509.pdf

『テレワークの導入状況』(厚生労働省)

https://telework.mhlw.go.jp/telework/trs/

『テレワークの動向と課題について』(総務省)

https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000048.html

『テレワークの動向と生産性に関する調査研究報告書』(総務省)

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h22_06_houkoku.pdf

『中小企業が使える人材確保支援策・働き方改革支援策』(厚生労働省)

『3 章 テレワークの効果・効用』(国土交通省)

https://www.mlit.go.jp/crd/daisei/telework/docs/05_3.pdf

『テレワークの効果』(厚生労働省)

『仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章』(内閣府)

http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/20barrier_html/20html/charter.html

『第3-(3)-4図 テレワークのデメリット・就業時間管理・部門別実施者の割合』(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/17/backdata/3-3-04.html

『テレワークを巡る現状について』(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000662173.pdf

『テレワークの種類』(厚生労働省委託事業 テレワーク相談センター)

『ワーケーションを活用した地方創生研修による関係人口創出』(総務省)

https://www.soumu.go.jp/kankeijinkou/model_detail/pdf/r01_33_wakayamaken_01.pdf

『テレワークの定義』(厚生労働省)

https://telework.mhlw.go.jp/telework/about/