百人一首の覚え方

001
秋の田の かりほのいほの とまをあらみ
わが衣手ころもでは 露にぬれつつ
天智天皇てんじてんのう

上の句|あきのたの かりおのいおの とまをあらみ

下の句|わがころもでは つゆにぬれつつ

2023/09/29

※イラストはイメージです

現代語訳

秋の田の番をする仮小屋の屋根をおおったとまの編み目が粗いので、私の袖は屋根から漏れる露に濡れてしまうなあ。

解説

夜に泊まりで田の番をする農民を思って詠んだ百人一首第一首目の歌。秋の夜の静かな雰囲気が感じられ、とても風情のある歌です。
この歌は万葉集にある作者不明の歌がもとになっていると言われており、実際に天智天皇が詠んだかどうかは不明です。天智天皇は、農民の暮らしにまで思いを馳せる優しさを持った天皇であったと言われています。

出典

後撰和歌集ごせんわかしゅう

語句解説

かりほの庵

農作業のための仮小屋。

小屋の屋根などをおおうのに使われたかやわらを編んだもの。

あらみ

形容詞「あらし」に原因・理由を表す接尾語「み」が付いたもので、「あらいので」という意味。

衣手

作者紹介

天智天皇(てんちてんのう・てんじてんのう)(626年ー671年)

第38代天皇
645年、即位前の中大兄皇子なかのおおえのおうじの時代に藤原鎌足ふじわらのかまたりと共に蘇我氏そがしを討ち、大化の改新を行い、中央集権国家の基礎を築いた。

作者に関する逸話

大化の改新を行ったことで有名な天智天皇(当時は中大兄皇子なかのおおえのおうじ)ですが、即位するまでには長い年月がかかっています。
645年に大化の改新を行い、天皇中心の中央集権国家建設を進めるも即位はせず、叔父の孝徳天皇の皇太子でした。孝徳天皇が亡くなった際にも、皇太子であったにもかかわらず即位せず、母の斉明天皇が即位。その後、668年にようやく即位しました。天皇として活躍した期間は、わずか3年ほどでした。

決まり字

上の句
秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ
下の句
わが衣手は 露にぬれつつ

「あきの」が決まり字の三字決まりです。

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語呂合わせ

秋のわが
「秋の輪が」「秋の我が」などと覚えると覚えやすいです。

イラストレーター

ぬまた こうたろう


監修者

たに ともこ


1959年、徳島県生まれ。大阪大学国文学科卒業、東京大学大学院博士課程単位取得。博士(文学・東京大学)。フェリス女学院大学教授。専攻は中世和歌。
著書に『百人一首(全)』(ビギナーズ・クラシックス日本の古典 角川文庫 KADOKAWA)『古典のすすめ』『和歌文学の基礎知識』(角川選書 KADOKAWA)、『百人一首解剖図鑑』(エクスナレッジ)、『和歌・短歌のすすめ 新撰百人一首』(共編著 花鳥社)、『中世和歌とその時代』(笠間書院)、『和歌文学大系 秋篠月清集・明恵上人歌集』(明治書院・『秋篠月清集』本文・校注・解説)などがある。

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