動物学者の今泉忠明先生が語る「好きなこと」を続ける楽しさ

数々の図鑑の監修を務められている動物学者の今泉忠明先生。今泉家は先生のお父さん、お兄さん、そして息子さんも動物学者という三代にわたる動物学者のご一家。子どもの頃から生き物や動物が大好きだったという先生に、子どもの興味関心を広げるコツと、好きなことを続ける楽しさについて伺いました。

“親”として押し付けるのではなく“友達”感覚で薦めてみる

子どもというのは、興味関心を自ら発展させる力をもっています。例えば、ダンゴムシに興味津々だった子の場合も、やがて飽きて、次はカブトムシに……といったように、より複雑な生き物に関心が移ることもありますし、鉄道や宇宙、恐竜などに興味を持つこともあるでしょう。この興味関心の広がりを、保護者のかたは、「これをやりなさい」「あれをやりなさい」と親の立場から薦めるのではなく、お子さまも一人の別人格として認める“友達”のような感覚で手助けできるといいですね。具体的には、「私、今度の夏休みは昆虫を飼おうかな」などと友達感覚で提案するのです。
子どもは、親に命令されると拒絶することもありますが、友達の言う事なら「負けるもんか!」と心を燃やしたり、聞く耳を持ったりするはずです。

子どもも大人も、好きなことを続けることに人生の豊かさがある

「今泉先生のように好きなことを続けるには、どうすればいいですか?」と聞かれることがよくあります。好きなことを続けていくには、周りに同じ価値観を持っている人がいること、同調してくれる人がいることが励みになると思います。お子さまの場合も同じで、保護者のかたは子どもが好きなことに対して「面白いね」と同調してあげられるといいですね。そうすると、お子さまは「これを続けていていいんだ」と思えるので、続けていけると思います。

好きなことを仕事にするのは難しいことですが、別に仕事を持ちながら好きなことを続けていくと、人生がとても豊かなものになります。例えば、会社員だったら、体力と気力がいることですが、平日は働いて週末は趣味の時間として継続することが大切です。僕の場合、原稿執筆や本の監修の仕事がたくさんありますが、どちらかと言うと、フィールドワークに出るような仕事がしたいというのが本音。言うならば、原稿執筆や監修の仕事で得た収入をフィールドワークに当てているわけです。動物学者といっても、好きなことだけをやっているわけではありませんが、フィールドワークをしたり、話の合う仲間と過ごしたりする時間はとても有意義で楽しいものです。
これは、大人も子どもも同じだと思います。子どもの頃は、保護者のかたや家族の同調を得て好きなことを継続し、大人になってからは好きなことを通じて知り合った仲間たちと同じ価値観を共有しながら、好きなことを突きつめていくのです。保護者のかたは、ぜひお子さまの好きなことを応援してあげられるといいですね。

気がつけば動物学者三代 気がつけば動物学者三代
<講談社/今泉 忠明 (著) 1,296円(税込)>

2016年に発売され、100万部を突破した「ざんねんないきもの辞典」(高橋書店)。その監修を務めた今泉忠明さんは、お父さん、お兄さん、そして息子さんともに動物学者という、三代にわたる動物一家の一員です。その今泉さんが、自らの生い立ちから動物学者になるまで、そして、なってからの奮闘を、いまここに明かします!

プロフィール

今泉忠明(いまいずみ ただあき)先生

今泉忠明(いまいずみ ただあき)先生

動物学者(生態学、分類学)。1944年、動物学者である今泉吉典の二男として、東京に生まれる。東京水産大学(現・東京海洋大学)卒業後、当時、国立科学博物館に勤務していた父の誘いで、特別研究生として、哺乳類の生態調査に参加。その後、文部省(現・文部科学省)の国際生物学事業計画調査、日本列島の自然史科学的総合研究などにも参加した。伊豆高原ねこの博物館館長、日本動物科学研究所所長などを歴任。監修をつとめた『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)は、2018年、「こどもの本総選挙」で第1位に選ばれた。動物関連の著書が多数あるほか、『講談社の動く図鑑MOVE』をはじめ、たくさんの動物本の監修も行っている。兄、息子ともに動物学者という“動物一家”の一員である。

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