速報! 平成26年度都立高校入試を振り返る【後編】-浅野剛-
平成25年度の推薦入試制度改善に続いて、平成26年度から学力検査問題のグループ作成が始まった都立高校入試。今年、受験生は最終的にどんな選択をし、どんな結果を得たのでしょうか。前編に引き続き、後編でも今年度の入試動向を振り返りながら、来年度以降の見通しについて解説します。
進学指導推進校・併設型中高一貫教育校
都内には現在、都立の中高一貫教育校が10校あり、そのうち5校が高校での募集を行わない「中等教育学校」、5校が2クラス分だけ高校からの募集を行う「併設型」です。以前は、これらの学校を受験していた学力層の生徒が、この10年間で周辺の他校に分散しています。
「平成26年度都立高校入試 志望予定調査の状況と今後の見通し」でも述べましたが、平成25年度から、併設型中高一貫教育校の大泉高校と富士高校が、高校募集を2クラスに縮小しました。他の併設型でもそうでしたが、高校2クラス募集になると応募者数、受験者数が大幅に減少します。
これと関連が深いと思われるのが、地域的にも近い豊多摩高校、北園高校の受験者増です。豊多摩高校は特に男子の受験者が増え、実質倍率は2倍近くとなりました。国際理解教育に力を入れている北園高校でも、平成25年度から受験者が集中しており、特に女子の受験者が増えています。平成26年度はこの影響もあって、北園から地域的にも近い文京高校が、実質倍率で男子2.21倍、女子2.00倍という高倍率となりました。
毎年、数多くの受験生が集まるのが三田高校。国際理解教育では歴史があり、特に女子の倍率が高いのが特徴ですが、今年度も、推薦・一般共に高い倍率を示しています。
竹早高校は、受験者数が大幅に増加したわけではありませんが、定員1クラス減の影響で、女子の実質倍率が2倍を越えました。
墨田川高校は、志望予定調査の段階から昨年より予定者数が少なく、一般入試でも応募者数・受験者数が減となりました。これは今年度から始まった「グループ作成問題」が影響していると考えられます。墨田川高校は新宿高校・国分寺高校と同じグループで試験問題を作成することとなったため、「難易度が上がるのではないか」と不安に感じた受験生も多かったように聞きます。
東部地区では、特に理系の進学実績が好調な小松川高校で受験者が大幅に増え、実質倍率もアップしました。
多摩地区では、武蔵野北高校、小金井北高校で高倍率が続いています。この地区でも、近年複数の中高一貫教育校が開校し、高校での募集枠が少なくなったため、その影響が大きいと考えられます。
平成27年度以降の展望
●グループ作成問題の影響
今年度は「グループ作成問題」が初年度だったため出題傾向が読みにくく、「難易度が上がるのでは」との懸念が広がって、受験者数を減らした高校もありました。しかし、次年度は過去問題が参照できることに加えて、学校説明会などでの具体的な説明も充実してくると考えられます。したがって、今年度受験者数が減った高校も、次年度以降はまた増加する可能性があります。
●併設型中高一貫教育校の動向
併設型中高一貫教育校は、応募者数が小規模で倍率も低くなりがちですが、直前になって受験者が増えてくる可能性もあります。また、いずれも歴史と実績のある高校ですから、強い意志とこだわりを持って受けにくる高い成績層の生徒も多いため、「倍率が低いから」といった安直な選択は禁物です。
●高倍率校で功を奏する内申点対策
併設型中高一貫教育校の募集縮小による、周辺他校への影響は次年度も続くと考えられます。受験生が集中しやすい高校では、学力検査で同点に並ぶケースも多く見られますので、学力検査に十分な対策を行うのはもちろんのこと、内申点対策も重要です。
志望校合格のためにまず必要なのは「その高校に行きたい」というはっきりとした意志です。意志がはっきりしていれば、情報に踊らされることなく、情報を生かして適切な対策を行うことができます。今回のデータを、ぜひ今後の意志決定と対策に生かしてください。
おすすめのアプリ限定特集
お子さまに関するお悩みを持つ
保護者のかたへ
- がんばっているのに成績が伸びない
- 反抗期の子どもの接し方に悩んでいる
- 自発的に勉強をやってくれない
このようなお悩みを持つ保護者のかたは多いのではないでしょうか?
お子さまの年齢、地域、時期別に最適な教育情報を配信しています!
そのほかにも、学習タイプ診断や無料動画など、アプリ限定のサービスが満載です。
ぜひ一度チェックしてみてください。