プログラミング教育の取り組み急務!

2020年度から全面実施となる小学校の学習指導要領で必修化される「プログラミング教育」。子どもが将来、社会に出て活躍するためにも必要な学習になりそうだということで、保護者の関心も大いに高まっているようです。しかし、それに比べて、教育委員会の取り組みは遅れている実態が、文部科学省の委託調査で浮き彫りになりました。導入まであと約1年半。自治体を挙げての取り組みが急務です。

予算不足もネック

調査は、今年2月1日現在の状況を尋ねたものです。722市区町村教委から回答がありました(回収率42%)。取り組みの段階を、▽ステージ0(特に取り組みをしていない)▽ステージ1(担当を決めて検討中)▽ステージ2(研究会や研修を行っている)▽ステージ3(授業を実施している)……に分け、選んでもらっています。
すると、ステージ0が57%と、多くを占めました。ステージ1と2は各13%、ステージ3は16%。一部の先進自治体では、全校で実施するなどの取り組みが進んでいるようです。また、ステージ0の割合をブロック別に見ると、北海道が82%、東北が73%だったのに対して、関東は34%、中国は40%など、かなり地域差があることもわかります。とりわけステージ3は関東が26%、近畿が23%と、大都市圏で取り組みが進んでいるようです。

取り組みを阻む理由もうかがえます。全体では「情報が不足している」「予算確保について困難と感じている」がいずれも60%に上りましたが、ステージが上がるにつれて、情報不足を挙げる割合が下がり、代わりに予算不足を挙げる傾向があるというのです。

政府戦略にも位置付け

文科省は調査期限後の3月末、「プログラミング教育の手引(第一版)」を発行しました。ここからプログラミング教育の趣旨や目的、基本的な考え方などの情報は、一通り得られます。そのため現段階で調査をすれば、ステージ0はぐっと減ることでしょう。しかし、せっかく情報を集めても、予算がないから機器や教材が買えず、授業もできないとしたら、問題です。
 取り組みが遅れているのには、「まだ2年間ある」という意識が働いていた可能性もあります。新指導要領のもう一つの目玉である小学校英語は、今年から移行措置として小学校中・高学年でプラス15時間の外国語活動(全面実施後はプラス35時間、高学年は教科化)が始まっています。しかしプログラミング教育は、移行措置の対象ではないため、2020年度に向けて準備をすればよいと考える教委が多かったようです。一方、予算要求のために具体的な計画も必要であり、そのための準備期間が必要だったことも確かです。

そうした中、政府は6月に閣議決定した「統合イノベーション戦略」で、IT(情報技術)人材を「桁違いな規模」で育成するため、2032年までに初等中等教育を終えた全ての生徒が読み・書き・そろばんに匹敵するITリテラシー(活用能力)を獲得する目標を掲げました。2032年といえば、20年度からの指導要領で学んだ小学1年生が高校を卒業する年です。そのためにICT(情報通信技術)支援員を2022年度までに4校に1人配置したり、「地域ICTクラブ」を試行的に展開したりするとしています。
政府全体の後押しも受けて、各自治体での取り組みに弾みがつくことを期待したいものです。

(筆者:渡辺敦司)

※教育委員会等における小学校プログラミング教育に関する取組状況等
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1406307.htm

※総合科学技術・イノベーション会議(6月14日)
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihui039/haihu-039.html

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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