高専ってどんな学校?

中学校卒業後、5年間一貫教育でエンジニアを育成する「高専」をご存じでしょうか。就職率が高いことでも知られています。知名度はいま一つですが、より高度で充実した教育体制への転換が図られつつあります。高専の教育システムを丸ごと導入する国もあり、その教育力が改めて脚光を浴びています。

5年間で即戦力の技術者を育てる学校

高専とは「高等専門学校」の略称で、実験や実習を重視した早期の技術者教育を行う教育機関です。農業高校や商業高校のような「専門高校」ではなく、また、高校を卒業してから入学する「専門学校」とも違います。大学と同じ「高等教育機関」に位置付けられています。
専門分野は、▽機械・材料系▽電気・電子系▽情報系▽化学・生物系▽建設系▽建築系▽商船系▽複合系の学科があり、国立51校、公立3校、私立3校の計57校があります。5年間(商船系は5年半)の本科を卒業すると、就職か進学かの選択をします。近年では就職は約6割、進学が約4割となっています。
就職の場合、就職率はほぼ100%で、生産機械や医療機器の設計開発、電力技術者、航空整備士、建設会社のエンジニア、ネットワークエンジニアなどの「即戦力」として、有名企業にも採用されます。
進学する場合は、併設の「専攻科」に進学したり、他の大学に編入学したりと多彩です。大学編入後そのまま大学院に進学したり、高専専攻科を修了して大学院に進んだりするルートもあり、進学の自由度が高いのが特徴です。

カリキュラムの高度化や国際化が進む

エンジニア養成に特化した学校だけに、勉強はそれなりにハードです。1年目から専門的な科目を学ぶのが特色で、機械系であれば加工機の実習、情報系なら電子回路の製作など、ものづくりの基本から学びます。理論と実習・実験を両立させたカリキュラムの下、本科卒業時には大学とほぼ同程度の専門知識や技術を身に付けるのです。
卒業生は企業や大学からの評価が高く、教育システムそのものも評価されています。近年はより高度で創造的なエンジニア育成を目指し、企業や大学と連携して、より特色ある教育を行うことが期待されています。飛び抜けた情報セキュリティー人材や、産業界と連携したロボットエンジニア育成など、社会のニーズに応えるスペシャリスト養成を目指しています。
高専は海外にも「輸出」されています。日本の高度成長期を支えた教育システムとして、アジアの新興国が導入を始めたのです。タイやモンゴルでは「KOSEN」が誕生しており、政府は官民共同で教材開発や教員派遣を推進し、生徒同士の国際交流を進めています。
かつて「手に職をつける学校」のイメージが強かった高専も、より高度な教育への転換や多彩な進路選択、国際化を進め、創造的な課題解決ができるエンジニア養成機関へと変わりつつあります。

国立の高専は41都道府県に1校から数校しか設置されておらず、設置がない府県もあること、各学年の学科定員は40名と限定されていることなど制約もありますが、3年生までは高校の就学支援金制度が利用できて学費が抑えられる点や、大学入試がなく学業に集中できるメリットもあります。中学校卒業後の進路の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。

(筆者:長尾康子)

※独立行政法人 国立高等専門学校機構
http://www.kosen-k.go.jp/index.html

プロフィール

長尾康子

長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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