中高生に人気のアプリ開発者へインタビュー!プログラミング学習で培われる力とは?

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小学校・中学校・高校で必修化され、2024年度(2025年度入試=現在の高校1年生から)での大学入学共通テストで「情報」が入試科目となることで注目される「プログラミング」学習。
中高生に人気のアプリ「StudyCast」「AI StLike」などを開発したベネッセコーポレーションの石田洋輔(以下:石田)に「プログラミングを使った仕事はどのようなものなのか?」「プログラミングを学ぶことで培われる力とは?」など気になることを聞いてみました。
プログラミング学習を行った先に、どのように社会で生かすことができるかを知ることで、今どのようなことに取り組んでおくとよいのかを考えていきます。

この記事のポイント

1. プログラミングの目的は「課題解決」?

—— 「StudyCast」はどのようなアプリなのですか?

石田 「StudyCast(以下:スタキャス)」は、一人で勉強するのが苦手な中学生や高校生が、オンライン上の自習室で一緒に勉強することで、学習意欲が高まるアプリです。
ベネッセ教育総合研究所の調査(※1)によると、「勉強しようという気持ちがわかない」に対する肯定率(とてもあてはまる+まああてはまる)は2019年から2021年にかけて増加し、「当てはまる」という子どもが半数を超え、学習意欲が低下傾向にあるといわれています。
このような学習意欲に対する課題を解決したいと思い、スタキャスを全国の中学生・高校生に届けてきたのですが、2022年2月に行った調査(※2)では、ユーザーの92.1%が「やる気が上がった」と回答してくれました。このように、教育における課題をアプリやデジタルの力で解決する仕事をしています。

※1「子どもの生活と学びに関する親子調査2019-2021」
※2「アプリ紹介案と勉強についてのアンケート」にて、スタキャスを週3回以上利用していると回答した316人のうち、やる気がとてもあがった・まああがったと回答したかたの割合。

2. プログラミングを仕事にする「働き方」とは?

—— スタキャスなどのアプリを開発する仕事は、どのような働き方をするのですか?

石田 「1日中パソコンでプログラミングを書いているの?」と聞かれることがあるのですが、実際にはさまざまなことをしています。
たとえば、スタキャスの開発では、「子どもが一人で学ぶことが難しい」という課題に対して、中学生や高校生はどのように学んでいるのかを調べました。すると、通話をしながら友達と勉強している中学生や高校生がたくさんいることに気付いたのです。そこから「音声通話×タイマー機能」のアプリを作ろうと考えて、機能を実装していきました。1つのアプリでも、AndroidアプリとiOSアプリではプログラミング言語が異なっているため、1つのプログラミング言語だけで完結せず、調べたり試行錯誤しながらチームでアプリを作っていきます。
ようやくアプリができたと思ってリリースしてみると、ユーザーの方々は、自分たちの思ったようにアプリを使ってはくれませんでした。特に、「友達と一緒に通話する」という使い方をしてくれたかたは一部に限られました。なぜなのかを探るために中学生や高校生にヒアリングをすると、「勉強時間を記録するだけではモチベーションが上がらない」「友達と使おうとしても時間が合わなくて使えない」などの課題が見つかりました。そこで「ランキング」「タイムライン」といった、競争心を促すような機能を追加することと、顔見知りではない全国の仲間と匿名で安全につながって、一緒に勉強できる「みんなで勉強ルーム」機能を追加しました。
こうした試行錯誤を繰り返すなかで、アプリダウンロード数は40万を超え、「1日あたりの勉強時間が73分伸びた」という成果(※3)も出てきました。

※3「アプリ紹介案と勉強についてのアンケート」にて、スタキャスを週3回以上利用し、勉強時間がとても伸びた・まあ伸びたと回答した264人の伸びた勉強時間の平均値。

3. プログラミングを学ぶことで培われる力とは?

—— アプリ開発をしている立場からみて、プログラミングを学ぶことで培われる力はどのようなものだと思いますか?

石田 いくつかの力があるように思います。
まずは「問題を解決するために、必要なデータや機能に分解して考える力」です。
企画力とも近いのだと思います。
たとえば、スタキャスでは「子どもが一人で学ぶことが難しい」という課題を、「音声通話×タイマー」という機能で解決しようと考えました。
次に「一つひとつの機能をプログラミングで実装しながら、各機能を組み合わせて、アプリとして動くように試行錯誤する力」です。
企画実現力のようなものともいえると思います。
これもスタキャスで例えると、音声通話ができる機能、タイマー機能を実装しながら、アプリ全体として動く状態まで試行錯誤していきました。
最後に「実際にユーザーに使ってもらいながら、改善をしていく力」です。
スタキャスも最初はなかなか中学生や高校生に使ってもらえませんでした。そのなかでヒアリングをして、モチベーションが上がる機能や、全国の勉強仲間がつくれる機能を増やしていくことを行いました。

こうして振り返ると、プログラミング学習は、特定のプログラミング言語の知識をつけるだけではないのだということがわかります。どういう問題を解決したいのか、プログラミングを使うことでどのように解決できるのかを考え、試行錯誤しながら作り上げていく力をつけることが重要だと思います。それが、「プログラミング的思考」という力なのかもしれないと思います。

出典:文部科学省 プログラミング教育の手引き「プログラミング的思考」

4. 中学生・高校生から取り組めることとは?

————本日は、実際にアプリを開発している立場から、プログラミング教育でどのような力を伸ばすことが大切なのかを考えてきました。最後に、中学生・高校生から取り組めることを教えてください。

石田 まずはプログラミングに触れてみてほしいです。
できればアプリ開発などに挑戦してみてほしいです。
そうすることで、自分の周りや世の中に目を向け「どのような問題があるのか?」「自分ならそれをどう解決するか?」を考え、それをプログラミングを使うことでどのように実現するか論理的に考え、試行錯誤しながら作り上げていく力である、プログラミング的思考をつけることができるのではないかと思います。
これまでたくさんアプリ開発やエンジニアをしている人にお会いしてきたなかで、学校の成績や、文系や理系といったことに関わらず、プログラミングができる人を見てきました。それは、もしかしたらプログラミングを学んだことがない人の中に、たくさんの才能が眠っている状態ではないかと思い、挑戦する前から「自分には向いていない」とあきらめてしまうのはもったいないと思います。一度挑戦してみることで、もしかしたらプログラミングがすぐに得意科目になるかもしれないですし、2024年度(2025年度入試=現在の高校1年生から)での大学入学共通テストで「情報」が入試科目にもなりますので、チャンスを広げられる学びだと思います。
また、世界の時価総額ランキングを見ても、今やIT系企業ばかりが並んでいます。そういった意味でも、プログラミングが得意になることは、社会で活躍できる幅を広げることにも繋がるのだと思います。
ご家庭でもできるサポートとして、プログラミングを体験できそうな機会を見つけたら誘ってみることや、お子さまが「プログラミングに挑戦してみたい」と話してきたときに後押しをすることもできるのではないかと思います。
一人でも多くの子どもたちが、プログラミングに触れて、創造性を発揮することを願っています。

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※記事内のサービス名称は取材当時のものとなります

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プロフィール

石田 洋輔

(株)ベネッセコーポレーション入社以来、高校生向けの教材編集を担当。「StudyCast」「AI StLike」の開発初期から携わり、現在は、中高生向けアプリ開発チームのプロジェクトリーダーとして、アプリのさらなる進化を目指し、日々挑戦を続けている。

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