1年間の教育費振り返りと、次年度計画の立て方

  • 教育費

皆さんは1年間の教育費の振り返りを既にされましたか。
きっちりされている方や、ざっくり把握する程度のかたなどさまざまでしょう。最近の値上げラッシュの影響は、日用品だけではなく、教育費にも及んでいる様子です。必要な教育費を備えるためにも1年間を振り返るのは大切なことです。当コラムではアンケートの生の保護者の声をご紹介しながら、教育費の振り返り方と次年度計画の立て方をお伝えします。

この記事のポイント

小中学生の学習費は過去最高

実際の子どもの教育費が上昇していることは、文部科学省が実施している「子供の学習費調査」からも把握できます。
令和3年度版の調査結果によると、前回の調査とは方法などが一部異なっているものの、令和3年の1年間にかかった小学校と中学校(公立と私立)および、全日制私立高校の学習費が平成6年の調査開始以来、過去最高額となりました。

〈保護者が支出した1年間・子ども一人当たりの学習費総額〉

「想定よりかかっている」と回答した人が約半数

この1年間でかかった教育費が「想定通り」だったか、または「想定よりかかったか」について、「まなびの手帳」で実施したアンケートよりご紹介します。

調査地域:全国
調査対象:小学生・中学生・高校生のお子さまをお持ちの保護者のかた
調査期間:2023年1月1日~2023年1月25日
調査手法:WEBアンケートによるベネッセ調べ
有効回答数:440名

アンケート結果では、「想定どおり」と回答した人は約3割で、それに対して「想定よりかかっている」と回答した人が約半数と、「想定どおり」を上回っています。

さらに、保護者のリアルな声から全体的な傾向をお伝えしたいと思います。
「想定よりかかっている」と回答した人には、習い事や塾代などの「値上げ」を要因としている人が最も多いようです。ほかにも、子どものやりたいことが変わったことによる進学先変更や、習い事のイベント代やユニフォームなどオプション費用が想像以上にかかったことなどを理由に挙げている人の声も目立っていました。

一方「想定よりかかっていない」では、習い事を辞めたことや通信教育教材を活用し教育費の節約ができたことを挙げている人がいました。

【想定よりかかっている】と回答した人(抜粋)

・「まだ何にしぼっていいのかわからないので、たくさん習い事をさせているため」(小学生の保護者)

・「習い事の費用がアップ。学年も上がって問題集や参考書を買う機会も多くなり、予定よりもかかった」(小学生の保護者)

・「小5の子が『塾に行きたい』と言い出した。勉強しなくていいと言えず、いずれ高校受験で通塾する可能性があるなら子どもが意欲的になっている今かなと」(小学生の保護者)

・「中学校の制服代を考えていなく、6万3千円ほど。けっこう痛い出費だった」(小学生の保護者)

・「本人が一生懸命勉強してもなかなか思うように成績が伸びず、塾に通うことになり、出費が大幅にかかった」(中学生の保護者)

・「スキー教室。5万円ほどかかった」(中学生の保護者)

・「高校の授業料免除が、ギリギリ対象外になり全額払うことになった」(高校生の保護者)

・「通信制に転校し、授業料等が倍以上に。受験のための塾の費用も想定外だった」(高校生の保護者)

【想定よりかかっていない】と回答した人(抜粋)

・「習い事を一つ辞めたので」(小学生の保護者)

・「習い事で月謝の値上がりがあったが、高校受験も進研ゼミだけで勉強し、塾に行かず。問題集などは買ったが塾に行くことを考えたら想定よりかかっていない」(中学生の保護者)

教育費の振り返り方

アンケート結果での「想定よりかかっている」と回答されたかたのコメントは、今後も計画を立てるうえで参考になったと思います。このような生の声を参考にこの1年間を振り返る時間をつくることから始めましょう。

まずはノートに1年間にかかった教育費や急な支出のほか、困ったことなども書き出してみてください。
家計簿をつけている人の場合は、支出がすぐに把握できるかもしれません。一方、今まで収入と支出を管理していなかった人は、これを機に家計簿をつけるなど管理をはじめることをおすすめします。

1年間に教育費をどれだけ使ったのか、どんなことに困ってどのように対処したかを振り返ることに注力してください。それらの反省を生かして、次年度の計画を立てることにつなげましょう。

次年度の計画の立て方

振り返りが終わったかたは、次年度の計画を立てましょう。
振り返った時と同様に、「何にいくらかかるのか」「予想外の支出はどこからお金を出すか」などを想定し、それらの予算額をノートなどに書き出しておくことをおすすめします。
計画の立て方のポイントを事例別にお伝えします。

「特別費」を多めに見積もっておく

特別費とは、毎月かかる費用ではないけれど、年間を通じてかかる費用のことです。たとえば、税金、車検代、旅行費用、慶弔費、家電の買い替え費用などが含まれます。今年は「特別費」の中に「教育費に関する費用」も上乗せしておきましょう。

最近は物価の上昇で、塾や習い事費用が値上げ傾向にあり、今年も起こることが想定されます。「想定外」と感じた出費も、冷静に考えると「想定内」におさめることもできるはずです。想定外費用を特別費の中で備えておけば、急な支出にも対応可能です。

教育費をスリム化させる

1年間の教育費を振り返ると、おそらく無駄な支出も見えてくるはずです。仮に、子ども自身に合っていない習い事や惰性で通っているような塾などがあった場合、このタイミングで「辞める」のも一つの方法です。
また、昨年より節約できる費目はないかについても考えてみましょう。

【習い事や塾代の節約例】

・塾から通信教育教材に変更する
・オンラインでできる習い事や塾を選ぶ
・自治体で開催されている習い事を選ぶ
・習い事の個数を決めておく
・自宅から近い場所を選ぶ
・教材や用品は友人などから安く購入する

使える制度を把握しておく

時々「世帯年収が上限額を超えてしまい、高等学校等就学支援金が使えなかった」という声を耳にします。そんな時でも慌てないために、支給の対象となる支援金やご自身が使える制度は、早めにチェックしておくことが大切です。

たとえば高等学校等就学支援金の場合、保護者等の「課税標準額(課税所得額)×6% - 市町村民税の調整控除の額」(以下Aとする)をもとに支給の対象になるかが判断されます。令和4年の4月から6月分の支援金については、保護者等の令和3年度の(A)を合計した額で判断され、令和4年7月から翌年6月分については、保護者等の令和4年度(A)を合計した額で判断されることになります。詳しくは文部科学省の「高校生等への修学支援」で確認してみてください。
URL:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/index.htm
また大学で使える奨学金についても、学校で行われる説明会に参加したり、学校の事務担当者に確認したりしながら情報収集に努め、使える制度を逃さないようにしましょう。

まとめ & 実践 TIPS

値上げラッシュの昨今の状況を乗り切るためには、この1年の振り返りと計画を立てることは必須といっても過言ではありません。
さらに、長い目で見れば、教育費のピーク時(大学生になった時)に向けた計画を立てておくこともあわせて行いましょう。
大学入学時までには、一人当たり400~600万円くらいあるのが理想的です。1年間の振り返りとともに、今現在どのくらい貯められたかも確認しておきましょう。必要であれば家計全体を見直すこともおすすめします。

出典:
文部科学省 学習費調査
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00001.html

過去の学習費の統計
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00400201&tstat=000001012023&cycle=0&tclass1=000001172786&tclass2=000001172787&tclass3=000001172800&cycle_facet=tclass1%3Atclass2%3Atclass3&tclass4val=0

この1年でかかっている教育費、想定どおりですか?
調査地域:全国
調査対象:小学生・中学生・高校生のお子さまをお持ちの保護者のかた
調査期間:2023年1月1日~2023年1月25日
調査手法:WEBアンケートによるベネッセ調べ
有効回答数:440名

小沢美奈子

小沢美奈子

ファイナンシャルプランナー
大学卒業後、損害保険会社にて社員教育、研修講師などを経験。約12年間勤務後、外資系損害保険会社で営業に従事。ファイナンシャルプランナーとして活動開始後はWebや書籍などで記事執筆、セミナー講師、家計相談などを行う。2児の母。著書「本物の節約 残念な節約」(河出書房新社)

プロフィール



メンバー全員が子育て経験を持つ女性FPのグループ。各自の子育て経験や得意分野を活かして、消費者向けのセミナーや相談業務、執筆、監修などを手掛けている。教育資金に関する情報発信の機会も豊富。

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