「共同生活」を送ることで、人間関係を築いていく力が養われると大学教授

子どもは将来のために何を学び、そのためにどのような大学や学部を選べばよいのだろうか。江戸時代の歴史が専門で、教員を育成している東京学芸大学の大石学教授に、大学の学びと社会とのつながり、高校生までにやっておくべきことを伺った。

 

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大石教授の研究室では年2回、合宿を行っているそうですが、どうしてですか?
研究室の学生の多くが教員志望です。教員という仕事は、児童・生徒や保護者、また同僚の教員同士などとさまざまな形でコミュニケーションをとらなければなりません。合宿という「共同生活」を送ることで、人間関係を築いていく力が意識しなくても養われます。

 

合宿では一人ひとりが人前でスピーチをする、3年生を中心に自分たちで合宿の運営を行うなどの経験をします。
自己表現することや、年長者が下級生をリードするなど、教員や社会人として必要な力も自然と備わっていくのです。

 

学生時代に歴史を学ぶことは、学生にとってどんなメリットがあるのでしょうか?
現在の社会は、ある日突然できあがったわけではありません。歴史の積み重ねの末に今があります。歴史を知ることは、現在の社会を知るための大切な手がかりとなります。それはどんな道に進んでも生かされることです。

 

歴史に限らず、自分の興味のある分野を研究することは、自分自身でテーマを見つけて積極的に調べるということで、その結果専門性を持つことになります。自分がスペシャリストとしての価値を得ることは自信につながり、研究する過程で得た方法論は、社会人となった時に役立ちますし、人生を豊かにしてくれます。子どもの興味を育てるのは、既成概念にとらわれない家庭にこそあると考えます。ぜひ、子どもの考えを尊重し、好きなことに打ち込める環境を整えてあげてください。

 

出典:東京学芸大学 教育学部 初等・中等教育教員養成課程 社会科教室 好きなことを学んで高めた専門性が社会に出たときの武器になる -ベネッセ教育情報サイト

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