我が子の「得意」を生かす戦略を [中学受験 6年生]

保護者の役割は、成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。そこで、6年生を対象に、大学入試改革を見据えた中学受験準備についてお話しします。

■「新テスト」対応傾向を今年度の入試問題から見極めて

新6年生は、新共通テスト導入前の移行期に大学入試を受けることとなりますが、来年度の中学入試にも、新テストの傾向を踏まえた問題が増えてくると見られます。
難関校ではこれまでも、教科融合の問題や、自分の考えを書かせる問題はよく出題されていました。さらに、今後は中堅校においても、こういった問題を採用するケースが増えてきそうです。お子さまの志望校が、新テストをどの程度意識しているかは、ぜひ今年度の入試問題を見て判断してください。

一般に、女子校や男子校が共学化して新しい教育方針を打ち出しているところは、アクティブ・ラーニング等にも熱心であり、入試問題にも融合問題や自由記述を積極的に取り入れる傾向が強いようです。

なお、2016年度の中学入試は、大学入試改革の方向性が不透明だったため、早慶やMARCHなどの私立大付属校や系列校に志望者が多く集まる、いわゆる「付属志向」が見られました。しかし、新共通テストの出題イメージが発表されるなど、入試改革の方向性がある程度見えてきたため、この傾向は今後薄れていくと考えられます。

■飲み込んだ知識を「アクティブ」に学び直す

新テストを意識した「問題解決型」の出題に対応できる思考力や表現力を付けるために、おすすめなのは、前回お話ししたように「しゃべる」ことです。保護者のかたが、身近なニュースなどをテーマに「この問題、どう思う?」と話を振ってみてはいかがでしょう。ここまで受験勉強を続けてきた6年生は、さまざまな知識を飲み込んでいますが、あまり「出す」機会がない場合が多いんですね。うまく乗せてあげると、とてもよくしゃべります。「入れる」と「出す」のバランスがとれると、知識がより身に付いたものになりますし、自分なりの考え方もはっきりしてきます。

「しゃべる」ことができれば、「書く」ことも難しくありません。自分の考えを人にわかるように伝える記述力は、訓練次第で身に付きます。たとえば月に1回、あるいは夏休みに3日間記述集中講座を受けるなど、定期的に「書く」トレーニングの機会を設けましょう。

■我が子の強みを生かす入試を選んで

もともと、理科や算数が大好きな子や、考えたり書いたりするのが得意な子であれば、新テスト対応に熱心な学校の入試のほうが有利です。しかし、苦手なことを得意にするには、1年間では時間が足りなくなります。たとえば100字程度の記述力は練習で身に付いても、数百字の読ませる文章を書けるようになるには、適性と時間が必要です。

ぜひ、2016年度の傾向を知り、お子さまの強みを生かせる入試を選んでください。そのために、さまざまな塾で開催される入試報告会には、ぜひお子さまと一緒に足を運ぶことをおすすめします。入試で我が子の長所を評価してくれるなら、入学後、その長所を生かし、伸ばしてくれる学校である可能性も高くなります。

(筆者:森上展安)

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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