進学校から附属校志向へ 高まる中学受験熱

中学入試の傾向として、相変わらず大学の附属校や系列校に志望者が集まる「附属志向」が続く一方、進学校は上位校に人気が集中しています。その背景と、新しい入試の形態について、森上教育研究所がお伝えします。

引き続き附属校志向が強い一方、進学校は上位校に人気が集中

ここ数年の附属校志向と東京23区の私大定員抑制が影響し、中学受験、高校受験ともに附属校の偏差値は2~3ポイント上昇。早慶、MARCHの附属校では近年でもっとも難しい受験となりました。
この附属校志向の一つの要因としては、進路保障が挙げられます。少子化により学校自体が少なくなっていく中で、偏差値上位の学校を選んでおけば安心という心理が保護者のかたには働きます。附属校というのは授業料が高い傾向がありますが、それと引き換えに進路保障があるという言い方もできるでしょう。

一方、進学校はどうかというと、こちらも上位校の一極集中の傾向が見えました。こちらの背景にあるのもやはり先行き不安で、大学入試改革での新テストに対応できるようなカリキュラムを教えてくれるような学校に我が子を入れたいという保護者のかたの思いがあります。
たとえば、東京では開成と麻布、神奈川では聖光学院と栄光学園、千葉では渋谷教育学園幕張、埼玉では栄東というように、確かなブランド力をもつ進学校に信頼が集まりました。

入試のバリエーションも多様化、個性を生かせる選択肢が増加中

2017年は、多様な入試が増えた年でもありました。
たとえば、プログラミング入試、記述論述入試といったいわゆる“一芸入試”に加えて、算数のみの入試など一科目入試という方向も強まっています。
これらは「第一志望に入るための入試」といえるでしょう。というのも、一般入試では、4教科でまんべんなく一定の学力が求められますが、単科入試となると、その一分野を深く追及することができます。たとえば、(AL)入試では、プレゼンテーション能力が重視されます。プレゼンテーションを重視するということは、プレゼンテーションする対象について大変深く理解しなければなりません。4教科の勉強はあまり得意でないものもあるけど、その学校に入るためにプレゼンテーションの練習をする子やプレゼンテーションが好きな子が受験をすることになります。

こうした児童が入学すると、結果として生徒が多様化して、学校全体がいい方向にシフトすることができます。たとえば、桐蔭学園の場合は一般入試が8割、あとの2割をAL入試で取っています。AL入試で入った子は、他の子どもたちに比べて授業中の発言が非常に活発なため、クラス全体もそれにつられて、発言が活発になります。すると、中学を卒業する3年間の間に、誰が当てられてもプレゼンテーションできるというようになるというわけです。

このように、4教科の勉強が出遅れたり、自分が好きなところに没入したりするタイプのお子さまにとっては自分の個性や得意なことを生かすという進学の選択肢も出てきています。
子どもたちの能力には凹凸があるものですが、従来の受験では、「我が子は国語が得意なので、国語の試験は難しいところでもいいけれど、算数が苦手なので算数の試験は難しくない学校を選ぼう」というように、あくまで4教科の中で調整する形でやってきました。それが、一つのことを深く勉強して入試に臨み、苦手な科目、準備が整っていない科目は入学してから伸ばす、という選択肢が出てきました。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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