夏休みこそ思考力の基礎を![高校受験]

新学習指導要領や大学入試改革の方向性に合わせて、各都道府県の公立高校の入試問題も、思考力・判断力・表現力を問う方向に変わってきています。まとまった時間がとれる夏こそ、しっかり思考力の基礎をつくってほしいものです。

今回は、今高校入試で求められている思考力・判断力・表現力と、それらを身につけるため、夏に取り組んでほしいことについてお話しします。

機械的な暗記では歯が立たない!近年の公立高校の入試問題

保護者のかたは、お住まいの地域の公立高校の入試問題を、もうご覧になっているでしょうか。
まだであれば、ぜひ都道府県の教育委員会のホームページなどでチェックしてみてください。ご自身の高校受験の頃とは、かなり印象が違っていると思います。都道府県によって差はありますが、単なる暗記や、機械的な計算だけでは歯が立たない問題が増えてきているのです。

たとえば、平成30年度の東京都の社会科では、写真を見てその撮影地点の地形図を選ぶ、「情報」をテーマに歴史の流れを問うといった問題が出ています。政治や社会のしくみをふまえた上で、時事的な内容を問う問題も、近年増える傾向にあります。数学や理科でも、与えられた条件に対して、どの定理や原理・原則が使えるかを自分で考えて解くような問題が多くなっています。

このような傾向は、進学指導重点校、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)、SGH(スーパーグローバルハイスクール)などの指定校で出題される自校作成問題では、さらに顕著です。
たとえば、都立最難関の日比谷高校(平成30年度・国語)では、哲学者西谷修氏による「歴史」についての文章を読解し、その内容をふまえ、具体例を入れて250字で自分の考えを書く作文や、英語の長文の内容をふまえて手紙の文章を30語以上で書く英作文といった、相当ハードな記述問題が出題されています。

夏に身につけたい「基礎力」とは?

高校入試の変化は、2020年以降に実施される学習指導要領や、大学入試改革の方向性を反映しています。知識・技能だけではなく、文章やデータを読み解く力(リテラシー)や、持っている知識や技能を生かして問題解決する力が求められているのです。

受験生の夏休みの課題といえば、中学校3年間の総復習を行って基礎を固めることですが、「基礎」の意味を新しい学力観に照らして考えるべきだと思います。
各教科の基礎となる知識や考え方は、人に説明できるくらい正確に身につける必要があります。そうなってはじめて「使える」知識となるからです。しかし、教科書を丸暗記しようとしたけれど結局うろ覚え、というのでは、基礎が身についたことにはなりません。
英語の構文なら言葉を変えて使いこなせるようにする、数学の定理や公式、理科の原理や原則は意味を理解し、どのようなときに使えるか問題演習まで行う、歴史は因果関係や流れを理解する、といった意識が必要でしょう。

「調べる」「考える」習慣をつける

従来の受験勉強の方法としては、思考力や表現力が必要な問題の対策は秋以降でいい…といった考え方もあったと思います。しかし、近年は高校入試が全体として思考力・判断力・表現力を重視する方向に変わってきています。様々な現実の問題に対して、自分なりに考えて答えを出す力は、一朝一夕には身につきません。

まずはテレビのニュースを見る、新聞を読むなどして社会問題や国際問題に関心をもつ、ニュースに、「超スマート社会」とか「SDGs」といった知らない言葉が出てきたら調べる、といった習慣が大切です。さらに、専門家の意見を集める、友達や家族と意見交換をする、そして自分なりに考えて意見を文章化する、といった訓練が、思考力・判断力・表現力を鍛えるのに役立ちます。

こういった習慣をつけるには、お子さまひとりでは難しいと思います。保護者のかた自身も、ぜひ身近な社会や世界で起きている出来事に関心をもち、ご自分で調べる、疑問に思ったことは口に出してみる、家族で話題にする、といったことを試してみてはいかがでしょうか。

プロフィール

安田理

安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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