大学付属校の最新トレンド【中学受験2022】

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高い人気の続く大学付属校ですが、「高大連携」の増加、新たな系列校の誕生など付属校を取り巻く環境にも近年変化が生じています。今回はそうした付属校の最新トレンドと付属校進学を検討する際のポイントについて森上教育研究所がお伝えします。

この記事のポイント

近年増加する「高大連携」

学校推薦型選抜の進学枠が用意される場合も

最近、別法人の大学と高校との間で連携協定を締結し、大学の付属校的な関係を作る「高大連携」が増えています。
たとえば、麹町学園女子は東洋大学と学校間教育連携を結び、推薦基準を満たせば東洋大学に進学できる東洋大学グローバルコースを設定しています。麹町学園女子は他にも日本女子大学などとも高大連携を結び、推薦枠を確保すると同時に大学との交流を強化しています。

東京女子大学も、同様の高大連携を桐朋女子、女子聖学院、玉川聖学院、捜真女学校、横浜女学院と結び、それぞれの学校ごとに推薦型選抜での進学枠を確保しています。
こうした高大連携が増加する背景には、大学側の少子化が進む中で早くから学生を確保しておきたいという思惑と、高校側のできるだけ早く進路を決めてほしいという思惑とがあります。

既存の中高一貫校からの、高大連携の情報に注意

2022年に入って以降も、新たな高大連携のニュースが次々と飛び込んできています。
最近では、東京慈恵会医科大学と芝の高大連携が発表されました。現時点では芝から東京慈恵会医科大学への進学枠については発表されていません。しかし、獨協医科大学の付属の獨協、獨協埼玉にそれぞれ進学枠があるように、芝にも医学部の進学枠を期待されるかたも多いと思います。

他にも、芝浦工業大学と山脇学園、法政大学と三輪田学園も最近高大連携を結びました。三輪田学園は、法政大学全学部からの学校型推薦枠を最大30名に拡大すると発表しています。
いずれもまだ具体的な進学枠の話は出ていませんが、今後追って情報が出てくる可能性があります。新たな高大連携の発表も含めて情報に注意していただければと思います。

新たな付属校の誕生、系列校連携、系属校化

2026年に日本学園は明治大学付属世田谷に

高大連携だけではなく、新たな付属校も誕生しています。
最近大きな話題となったのは、明治大学と日本学園の系列校連携です。2026年4月から日本学園は明治大学付属世田谷となり、共学化することが公表されました。来年以降の入学者は、卒業生の7割が明治大学へ進学できると日本学園が発表したことで注目が集まっています。

このように既存の別法人の私立学校と大学とで系列校連携を締結する例としては、他に2019年に日本大学と日出学園とで系列校連携して名称変更した目黒日本大学があります。こちらも、目黒という立地の良さに加えて日本大学の付属校として内部進学ができるということで人気が高まっています。

系属校化で人気急上昇の浦和ルーテル学院

新たに大学の系属校となった学校も人気を集めています。
2019年に青山学院大学の系属校となった浦和ルーテル学院は初年度に大変な高倍率となりました。現在はあまりの高倍率で入りにくくなったため倍率が若干緩和してきたところです。

同様に2016年に青山学院大学の系属校となった青山学院横浜英和は、今年初めて卒業生の7割近くが青山学院大学の系属校推薦資格を取得しました。実際に系属校化の先行事例である青山学院横浜英和がこれだけの有資格者を出したことで、浦和ルーテル学院も同様の実績が期待できることから、両校とも人気が続くと予想されます。

従来の大学付属校の動きにも注意

大学と付属校との教育連携を強化する動きも

従来の同じ法人内での付属校にも興味深い動きがあります。
たとえば中央大学は、2022年9月から4つの付属高校で、大学のデータサイエンスに関する授業科目を先行的に履修できる「高大接続先行履修制度」を始めました。

これによって付属校の生徒はデータサイエンスの基礎を学んだうえで中央大学に進学できるようになります。進学枠のみでの優遇ではなく、教育の内容面での付属校との連携を大学も目指し始めていますので、これも情報に注意したいところです。

国立大の付属校については位置付けの違いに注意

ただし、同じ「大学付属校」といっても国立大学の付属校は、教員養成のための実験的な学校という側面が強く、私立大学の付属校とは全く位置づけが異なるといえます。高校にもすんなりと進学できるとは限りませんし、大学への推薦進学枠が私立大学のように数多くは用意されていません。

そのまま内部進学できるとは考えず、他の大学への進学も視野に入れてしっかりと勉強しておくことが求められます。

大学付属校を志望校として検討する際の注意点

中学高校だけではなく大学まで含めて情報確認を

大学付属校への進学を考えているご家庭では、お子さんと一緒に複数の学校に実際に足を運び、説明会だけでなく校風が表れやすい学校行事なども見学したうえで、お子さんのタイプやご家庭のお考えに合う学校を絞り込んでいくとよいでしょう。その際いくつか注意点があります。

まず、大学付属校には、ほとんどの生徒が系列大学に進学する「付属校」と、系列大学進学だけでなく他大学へも進学できる「半付属校」、ほとんど系列大学に進まない「進学校」とがあります。気になる付属校がどれに当たるか確認しておきましょう。
「付属校」の場合は、中学進学時点で大学までの進路が決まる可能性が高くなります。中学高校と大学とでは校風がかなり異なることもありますので、系列大学の校風も調べておきましょう。

さらに、今の時代は難関大や有名大に進学したからといって将来が保証されるとは限りません。お子さんの将来のことも考えておきたいという保護者のかたは、系列大学にどんな学部があるのかだけでなく、卒業生の就職実績はどのようなものかを大学のWebサイトなどで確認して状況をつかんでおくとよいでしょう。

まとめ & 実践 TIPS

近年は別法人の間で連携協定を締結し、大学の付属校的な関係を作る高大連携も増加しています。さらに、別法人の私立学校と大学との系列校連携、系属校化で新たな付属校も誕生し人気を集めています。こうした情報を気にかけておくといいでしょう。
一方従来の付属校でも高大の教育連携が進んでいるのも新しい傾向です。ただし、国立大学の付属校については私立大学の付属校とは位置付けが違うことを認識しておきましょう。
大学付属校への進学を考えている場合は、複数の学校に実際に足を運んで学校を絞り込む際に、どのような付属校か、系列大学の校風はどのようなものかについても気を配っておくとよいでしょう。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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