「学校に行きたくない…」苦しい状況を抜け出すには、親の態度がカギになる [不登校との付き合い方(2)]

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コロナ禍の影響で「学校に行きたくない」と言う子どもが増えているといいます。大人はどうしても、「これまでどおり」や「あるべき姿」といった「枠」に、子どもを当てはめようとしてしまい、そのことで子どもたちが苦しくなる、という状況が起こります。そんな状況から抜け出すには「笑顔」がキーワードになると語るのは、「不登校新聞」編集長の石井志昂さん。笑顔が大事な理由や大人が笑顔でいるための方法について、聞きました。

この記事のポイント

今こそ親の笑顔が求められる!

前回、大人も子どもも大変な状況の中で、楽しめることを1つでも2つでも見つけようと気持ちを切り替えて、人生を楽しもうとしている家庭の子どもが、学力も笑顔も取り戻している、という話をしました。

子どもは、大人が怒っている様子を見たときに、「こわい」と感じているだけで、なぜ怒っているのかという理由はよく覚えていないものなんです。

大人にしてみれば、怒っている理由を伝えたいはずですよね。自分が怒っているという感情自体は、子どもに伝えたいことではないはず。それなのに、子どもには、肝心の「理由」のほうが伝わりません。

この非常事態の間に、親がよく怒っているとか、ピリピリしているとか、そうしたことだけが子どもたちの心には強く残っていると思います。それは、子どもの心が傷つくこと。伝えたいことは、伝え方を考えないと伝わらないものです。

子どもは笑顔で伝えたことを覚えている

その一方で、大人が笑顔でいたら、「今したことは良いことなんだな」と覚えているものです。不登校新聞で連載していた田口ランディさんの言葉に「子どもは親の笑顔が好き」というものがあります。子どもは、多くのことを親が笑顔か否かで判断しているんですよね。笑顔でいることは、とても大切です。

とはいえ、できるだけ笑顔でいよう!と思っても、大人だってこの時期はつらいですよね。何もしなくても自然に笑顔になれるか、と言われればそうではありません。だからこそ、自分自身が笑顔になろうとすることも必要なんじゃないかと思います。

大人はまず自分の気持ちを整理して、「あるべき姿」を手放そう

今は、笑顔になろうとする以前に、さまざまな不満が顔にあらわれてしまうとか、どうかすると子どもの前で、その子の未来が心配だといって泣いてしまう、といったことがあるかもしれません。でも、子どもは大人よりもずっと弱い立場だと思って、自分の感情は自分で発散したいところです。

大人は自分で自分の気持ちを整理して、笑顔になる努力が必要でしょう。たとえば、自分一人で車に乗って、深夜のスーパーの広い駐車場の片隅で号泣するんだ、という人の話も聞いたことがあります。大声で歌うとか、思い切り愚痴を言うとかも必要ですよね。保護者自身が気持ちを発散する場を作ることが大切なんです。友達とおしゃべりするのもよいと思います。

そして、良い親であろうとするほど苦しくなるのではないでしょうか。大人は子どもに、虚像ともいえる「あるべき姿」を追い求めてしまいがちです。つい、「なんでふつうにできないの?」と言ってしまうこともありますね。それは子どもにとってはきついことです。

今の時期だからこそ、そんな「ふつう」を追い求めてもしかたないのではと思います。「ふつう」であることを追い求めながら、保護者は笑顔でいられるでしょうか。それよりも、自分自身が笑顔でいる方法を考えることを優先してみては、と思うのです。

まとめ & 実践 TIPS

子どもたちは大人が笑顔で伝えたことを覚えています。怒りながら伝えても、内容ではなく「怒っている」ということだけが心に残ってしまうのです。大人は、子どもがいない場所でストレスを発散して、「良い親でいよう」という気持ちや、子どもに対して「あるべき姿」を追い求めることをやめてみましょう。そして、子どもの前では笑顔でいる努力もやはり必要です。

プロフィール


石井志昂

『不登校新聞』編集長。1982年生まれ。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。17歳から不登校新聞社の子ども若者編集部として活動。不登校新聞のスタッフとして創刊号からかかわり、2006年に編集長に就任。現在までに不登校や引きこもりの当事者、親、識者など、400名以上の取材を行っている。

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