勉強に集中できない子どもを変えたい!【親野先生アドバイス】

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勉強を始めても続かない、途中でだらだらし始める、そんな姿を見るとモヤモヤしてしまいます。もっと集中して机に向かってほしい時、どんな声かけをすればいいのでしょうか。教育評論家の親野智可等先生にお聞きしました。

この記事のポイント

言い聞かせても変わらないと心得て

子どもがじっと机に向かって勉強していると、「うんうん、どんどん勉強して賢くなってね」「勉強、がんばっていて偉いわ」とうれしくなります。でも、実際は短時間で他のことを始めたり、嫌々やっている様子だったり、年齢が上がってくると気が付いたら動画を見ていたなんていうこともあります。

こんな時には「集中しなさい!」「もうやめちゃったの?」と言いたくなりますが、こうした声かけにはあまり効果はありません。むしろ、「また怒られた。勉強っていやなものだな」と勉強そのものに対する印象が悪くなったり、保護者のかたへの不満を募らせたりしてしまうこともあります。

そもそも子どもが勉強に集中しないというのは普通のこと。なぜなら、言われなくても進んで勉強する子、いくらでも机に向かって勉強を続けられる子というのは「もともと勉強が好きな子」だからです。サッカーが好き、お菓子作りが好きなど、好きなものは一人ひとり違います。

他の「好きなこと」と比べれば、勉強が好きな子と同じくらい熱心に取り組んでほしいという期待は、子どもにとっては負担になることがわかります。とはいえ、やるべき課題はあるので、子どもの気持ちをくみながら、なるべく前向きに勉強できる環境づくりや声かけを考えていく必要があるのです。

勉強は「がんばるもの」という思い込みを捨てる

「勉強に集中できない」という保護者のかたの声は、年齢が上がるにつれて増えていきます。特に小学校の高学年は変わり目。この年代は、低学年に比べて勉強することの量がどんどん増えて、内容も難しくなります。

また、自我もしっかりしてきて、やりたいこと、やりたくないことがハッキリしてくる時期です。楽しみも広がって、ゲームがしたい、YouTubeなどの動画を見たいといった気持ちが強くなるので、なかなか勉強に集中できなくなります。

ですから、まずは「今日も宿題が大変だよね。早く好きなことがしたいよね」と、子どもの気持ちを受け止めて。そのうえで、なるべく勉強のハードルを下げる工夫をしてみてください。また、勉強はがんばってやるもの、がんばるから身に付く、といった考え方もやめましょう。

たとえば初めはノートを開くだけでもOK。それから1問だけ、1ページだけなど、できそうな目標を立ててみる。10分で終わらせる! と決めてタイマーや砂時計を使い、ゲーム的に挑戦するのもいいですね。なるべく気楽に、なるべく楽しく「やってみたらできちゃった」というのがよいのです。

「一点突破、全面展開」で地頭(じあたま)をよくしよう

「一点突破、全面展開」というのは孫子の「兵法」にある言葉で、ビジネス戦略でもよく使われます。あれこれ手を広げて中途半端になるよりも一点に絞って結果を出せば、それが突破口になって、状況が大きく変わるという考えです。子どもなら全部の教科で成績を上げようとするよりも、得意な教科に絞ったほうが楽しく勉強できて結果が出やすいということになります。

得意な教科を選んで「この教科だけがんばればいい」と思えれば、子どももモチベーションを維持しやすくなります。成績が上がった、理解できたという成功体験で自信がついて、次への意欲も高まります。

実は、一点突破は勉強でなくてもかまいません。スポーツでも、ハンドメイドなどの趣味でも、何でもよいので子どもが夢中になれることを見つけて、それをしっかり応援してあげれば、子どもは積極的に情報を吸収し、考え、挑戦します。

好きなことを通して物事を知り、理解する経験を重ねれば、子どもの思考力が上がり、地頭がよくなります。それはすぐにテストの結果に結びつくものではありませんが、思考力が上がれば勉強も理解しやすくなっていき、結果的に「全面展開」する、つまり勉強することへの抵抗がなくなり、意欲が持てるようになっていきます。

目標やあこがれが集中力をぐっと上げる

もう一つ、子ども自身が積極的に勉強を始めるタイミングがあります。それは、将来の目標やあこがれを持った時です。「この学校に行きたい」「将来この仕事がしたい」という気持ちは、勉強のモチベーションを高めます。

好きなことを深めていく中で気になる学校や仕事を見つけることもあれば、気が向いて読んだ伝記やマンガなどに触発されることもあります。いつ、どこに出合いがあるかはわからないので、日常に知的な刺激がたくさんある環境を用意してあげるといいですね。

勉強は「学びたい」という子ども自身の気持ちが重要。それは子どもが自分で持つもので、親が与えられるものではありません。まずは勉強が嫌なものにならないように、ハードルを下げ、学びたい気持ちが芽生えやすい環境をつくり、子どもが積極的になれることをめいっぱい応援していきましょう。

まとめ & 実践 TIPS

勉強のハードルを下げて取り組みやすくする、好きなことを通して思考力を高める、目標やあこがれを持てるような体験や環境を用意することが、勉強の意欲を上げるポイントでした。逆にいえば、好きなことを押さえ込んで勉強を強要しても、子どもはいつまでも勉強を楽しいと感じられないということ。目の前の子どもの姿に一喜一憂するよりも、子どもと楽しく過ごしながら小さな工夫をしていきたいですね。

プロフィール


親野智可等
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・『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』(ダイヤモンド社)
・『反抗期まるごと解決BOOK』(日東書院本社)


長年の教師経験をもとに勉強法・家庭教育・親子関係などについて具体的に提案。
Instagram、Threads、X、YouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」、メルマガなどで発信中。ドラゴン桜の指南役としても著名。最新刊『子育て365日』などベストセラー多数。全国各地の教育講演会でも大人気。詳細は「親力」で検索

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