「忙しくて怒ってばかり…余裕がほしい」落ち込む時こそ実は「片付け」のチャンス!?余裕が手に入る3つの考え方
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元中学校・高校教員でのべ2,000人の子どもと関わり、現在は子どもの自立を育む環境づくりの専門家として活動する、ひきたあゆみさん。片付けを通じた環境づくりの重要性に気付いた経験から、忙しい毎日を送る保護者のかたに向けて、具体的なヒントをお届けします。
「片付け」で心と時間の余裕を手に入れる
「毎朝バタバタで子どもを怒ってしまう」
「帰宅後は家事に追われ、子どもの話をゆっくり聞けない」
こんな悩みを抱えている保護者のかたは多いのではないでしょうか。
私自身もかつてはそんな日々を送っていました。
終わらない家事、片付かない家。できない自分に落ち込み子どもに当たってしまう日々。何とか寝かしつけた子どもの寝顔を見ながら「母親失格だ」と自分を責める……。そんな負のループから抜け出せずにいました。
そんなある日、4歳の娘に「もし一つだけママが何でもしてあげるとしたら、何がいい?」と聞いてみました。おもちゃをおねだりされるかな?と考えていた私に、娘は「ママと一緒に寝たい」と答えたのです。
この言葉が、私の子育ての転換点となりました。
「この子と一緒に寝ることに注力し、そこまでに家事を終わらせる。笑顔でおやすみと言って1日を終える」。この目標を立てたことで、私の暮らしの整理が始まりました。
子育て中だからこそ、実は片付けによって大きく環境を変えられる。
結果、びっくりするくらい心と時間の余裕が手に入る。
そんな「片付けの3つの考え方」をご紹介します。
いらないものを手放す
まずは「自分が最も余裕がなくなる時はいつか」から考えてみましょう。
私の場合は、最も余裕がない時間帯=夕食作りの時間帯でした。
そのため、まず「夕食作りを5分短縮しよう!」と考え、キッチンを見直したのです。
キッチンではお皿の数を必要最小限に減らし、使っていない調味料を手放す。
これだけでも工程がシンプルになり、食器洗いの時間が短縮され、調理の手間が減り、料理にかかる時間と心の負担が軽くなったのです。
また、「朝の支度の時間に余裕がない!」というかたでしたら、クローゼットの整理がおすすめです。
たとえば私は、産前の着ない服、趣味で買ってしまった子ども服を手放し、「今に最適な服」を子どもにわかりやすく配置するようにしました。
支度の時間を奪っているのは、実は「いらないもの」だったりします。たった1回の服の見直しでも、毎日を変えることができるのです。
子どもの自立の心を育む要となっているキッチン。いろいろあるけれど、きっと大丈夫。そう思えるのは、こんな環境のおかげです。
子どもが「自分で選ぶ」環境をつくる
子どもが自分で選べる環境を整えることで、「あれやったの?」の声かけを減らすこともできます。
たとえば、お子さまの服について。
保護者のかたがある程度量や選択肢を絞ったあと、仕切りなどを使って、子どもが引き出しを開けた時に、自分で取りやすい環境をつくるのがおすすめです。
お子さまが選んだものについては「それって変じゃない?」と思ったとしてもグッとガマン。否定をせず、尊重するようにしましょう。
こういった「自分で選んでいいんだ」という安心感を家庭で育み、経験を積み重ねていくことは子どもの「主体性」や「自立」にもつながっていきます。
お子さまが迷うようなら、「選び方」を教えてあげるのもいいですね。
選び方で大事なのは、小さな違和感を見逃さないこと。
たとえば靴下なら、「履く時にいつもきついと感じる」など、違和感があるものは選ばない、といった具合です。
そうやって自分で選ぶ体験を積み重ねることで、「自分が必要なものは何か?」を考えることにもつながっていきます。
お客さまのおうちでお子さまとお片付け。自分のお部屋がきれいになるのは、どの子もうれしい!
「こうあるべき」の理想を手放す
子育てにおける「こうあるべき」という理想を手放すのも、実はとても大事です。
「完璧な家事」「理想の子育て」といった固定観念を捨て、「自分と家族にとって本当に必要なことは何か?」に集中することで、心と時間の余裕が生まれます。
私も自分の理想と現実のギャップに苦しみ、「こんな私は母親失格だ」と自分を責めたり、満たされない思いを家族に当たって過ごしたりすることがありました。
今は「家事を終わらせ、娘と一緒に笑顔でおやすみと言って寝る」を最優先にして、きれいな家、完璧な家事にはこだわらないことにしています。
結果的に家族との関係も改善され、より穏やかな日々を送れるようになったのです。
まとめ & 実践 TIPS
今、この記事を読んでくださっているかたの中には、「どうすれば余裕ができるんだろう」と日々の生活にいっぱいいっぱいになってしまっているかたもいるかと思います。
そんな時に「片付け」といわれても、正直ピンとこないかもしれません。
ただ、実はやってみると大きく環境が変わったりするものです。
私自身、片付けで、あれこれ悩む時間が減り、時間と心の余裕が生まれました。
以前は家中を動き回り、出発するころには疲れ果てていた朝の支度が、動線が合った環境の中ではあっという間に終わるように。
シンプルで使いやすくなったキッチンでは、気が付けば、上の娘が朝ごはんを作ってくれ、皆で朝ごはんを囲む余裕まで生まれるようになっていきました。
片付ける前は指示ばかりを飛ばしていた声かけが「ありがとう」「かっこいいね」と自然とポジティブなモノに変わっていきました。
片付けを通じて、心も環境も変えることができる。
小さなことからで大丈夫です。「片付けの3つの考え方」の中でも、「これ1つだけならできそうだな」と思うところから始めてみるくらいで大丈夫ですよ。
変化の激しいこれからの時代、子どもが自分らしく生きる力を育てるために、暮らしの土台を整えてみる。子育ての新たな視点として、「片付け」という選択肢を取り入れてみませんか?
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