もう怖くない!スマホの課金トラブルを防ぐルールづくりと対策4選

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スマホやタブレットの利用が当たり前になった今、小学生の子どもがゲームやアプリで「知らないうちに課金していた」というトラブルが増えています。気付いた時には高額請求…なんてことも。この記事では、なぜスマホ課金のトラブルが起こるのか、その仕組みや事例、そして家庭でできる対策をわかりやすく解説します。大切なのは、課金トラブルを起こす前に、「ルール」と「対策」で防ぐことです。安心してスマホを使える環境づくりを一緒に考えていきましょう。

この記事のポイント

スマホ課金トラブルはどうして起こるの? 事例と課金の仕組み

小・中学生は特に注意! 増加傾向にあるスマホ課金

国民生活センターによると、2016年度から2020年度の小学生・中学生・高校生のオンラインゲームに関する相談件数は増加傾向です。

※国民生活センター資料より作成。

特に小学生の増加が目立っていることがわかります。また、2022年度の相談件数は4,024件でした。

国民生活センターのサイトに載せられた相談内容の事例は以下のとおりです。

  • 母親のスマホを母親のアカウントにログインした状態で小学生の娘に貸したところ、娘がアカウントのパスワードを変更して登録されたクレジットカードでゲーム課金してしまった。
  • 日頃から、小学生の息子に母親の古いスマホを自宅のWi-Fiに繋げて使用させていた。課金には母親の指紋認証が必要な設定にしていたが、母親のアカウントにログインした状態であったため息子が自分の指紋を追加登録して約5万円ゲーム課金してしまった。
  • 母親名義で契約し中学生の息子を利用者登録したスマホを息子に使用させていたところ、5カ月の間にキャリア決済で約5万円ゲーム課金してしまった。キャリア決済の上限額を引き下げることができるとは知らなかった。

※引用元:子どものオンラインゲーム 無断課金につながるあぶない場面に注意!!|独立行政法人 国民生活センター

相談内容の事例を見てみると、「保護者世代よりも、子どもたちのほうがITリテラシーが高いのでは……?」と思わせるような、課金トラブルが多くあります。インターネットや動画サイトで多くの情報が簡単に得られるため、深く考えず課金してしまうということもあるようです。スマホとお金の使い方について、子どもと一緒に学ぶことが大切といえますね。

そもそも課金はどうやって行うの?

普段アプリの課金をしないかたは、課金の仕組みを知らないかたも多いのではないでしょうか。

スマホやタブレットでのアプリ課金には、「アプリ内課金」と「アプリ外課金」があります。

アプリ内課金とは、アプリの中で直接コンテンツやサブスクリプションを購入する課金方式です。Google PlayやApp Storeなどのプラットフォームに紐づけられたアカウントの決済機能を使用するため、手軽に課金しやすいという特徴があります。

一方、アプリ外課金とは、アプリの中のリンクから自社のウェブサイトなどに誘導し、アプリの外で決済をする課金方式です。そのため、クレジットカード情報を入力するなど、新たに利用する決済サービスの手続きをする必要があります。

また、アプリのダウンロードそのものにお金がかかる「有償アプリ」もあり、決済はアプリ内課金と同じように紐づけられたアカウントの決済機能が使われます。

どうしてスマホ課金トラブルが起きるの?

国民生活センターによると、

  • 小学生の子どもが、友達に「キャリア決済を使うとお金がかからない」と教えられ、 スマホでオンラインゲームに高額課金していた。
  • 小学生の子どもが、父親のアカウントを使って家庭用ゲーム機で遊び、アカウントに 登録されていたクレジットカードを利用して課金していた。
  • 小学生の子どもがオンラインゲームで 150 万円以上も課金していたが、決済完了メー ルが子どもに削除されていたため気がつかなかった。

※引用元:「スマホを渡しただけなのに…」「家庭用ゲーム機でいつの間に…」子どものオンラインゲーム課金のトラブルを防ぐには?|独立行政法人 国民生活センター

など、さまざまな過程を経て課金トラブルになっています。

課金をしていると認識していなかったり、悪いとはわかっていても簡単にできてしまうためこっそり課金し続けてしまったり……どちらにしても無断課金の発覚は、保護者のかたにとってショックなことではないでしょうか。

課金トラブルは、防げるなら防いでおきたいものです。スマホやタブレットで課金ができるゲームを始める前に、きちんと課金について仕組みを知り、課金トラブルを防ぐルールをつくることが大切なのです。

課金トラブルを未然に防ぐ4つのルールづくり

ルールづくりは、お子さまと話し合いながら行うことがおすすめです。お子さまの意見を取り入れることで、子ども自身が納得し、ルールを守ろうとする意識がより高まります。ルールづくりで話し合いたい項目を4つご紹介します。

1.課金に関するルール

基本的に、小・中学生の間はゲーム課金を避けるのがよいでしょう。なぜなら、小・中学生では、「ゲーム課金=お金を使っている」という感覚がつきにくく、気付かないうちに高額な支払いになる可能性があることや、課金することでよりゲームに依存してしまうこともあるからです。

ただ、お子さまが「ゲームに課金したい」と言ってきた時は、「課金は一切禁止」というご家庭の方針であっても一方的に禁止するのではなく、「なぜ課金したいのか」を否定せずに聞くことが大切です。

課金をしたくなる理由を理解した上で、なぜ課金を控えるべきなのか(お金の大切さやゲーム以外の楽しみ方など)について親子で話し合い、課金に頼らない楽しみ方を一緒に見つけていきましょう。

もしどうしても課金したい際は、必ず保護者のかたに相談し、慎重に判断するというルールを設けるようにしましょう。

2.アプリに関するルール

特に小学生のうちは、どのゲームやアプリを使用しているのか、保護者のかたも把握しておくのがおすすめです。アプリをダウンロードする時は、保護者のかたに確認をとってから行うというルールにしておくと、ゲームの内容や課金の有無などを知ることができるので安心できます。

3.やっていい時間と場所に関するルール

やっていい時間と場所についても決めておきましょう。

【やっていい時間の例】

  • 1日1時間まで
  • ゲームは宿題が終わってから
  • やっていいのは就寝1時間前まで

など、宿題や就寝時間など、生活習慣を守ることは前提としてルールに盛り込んでおくのがおすすめです。

【やっていい場所の例】

  • スマホの使用はリビングのみ
  • 歩きスマホは絶対NG
  • 公園などの外ではやらない

など、基本的に保護者のかたの目が届く場所で使用してもらうと安心ですね。

4.アプリ内でのつながりに関するルール

ゲームアプリでは、友達や知らない人とつながりが持てるものも多くあります。「メッセージが送れる・送れない」や「アプリにログインしているかがわかるだけ」など、つながりの内容もゲームアプリによってさまざまです。

「友達でもつながるのは禁止」「友達ならOK」など、お子さまの話を聞きながらアプリ内のつながりについても話し合っておくとよいでしょう。

課金トラブルを起こさないために保護者のかたができる対策4選

課金トラブルを起こさせないように、保護者のかたもできる限り対策をしておくのがおすすめです。

1.スマホ端末のクレジットカード情報は削除

保護者のかたのスマホをお子さまに渡すことがあるなら、クレジットカード情報は削除しておきましょう。「何の気なしにタップしてしまい課金してしまった」などのトラブルを防ぐことができます。渡す前に、GoogleやAppleのアカウントをログアウトしておくのもおすすめです。

クレジットカード情報を入れたことを忘れている場合もあるため、一度アカウントに紐づいていないか確認してみてください。特に、昔使っていたスマホには情報がそのまま残っていることも多いため、注意が必要です。

2.課金時のパスワード入力の設定

課金する際にパスワードの入力が要求される、「決済パスワード」の設定をしておきましょう。その際、誕生日や電話番号など子どもが推測しやすいものは避け、複雑な文字列にしておくのがおすすめです。

指紋認証は子どもが自分の指紋を登録して決済していたという事例があり、顔認証はiPhoneであれば2つの容姿を登録できるということを念頭に置き、対策をしておきましょう。

3.クレジットカードの管理を強化

「保護者のかたのクレジットカードを勝手に持ち出し、スマホ課金に使用した」という事例もあるため、クレジットカードそのものの管理も強化しておきましょう。「クレジットカードの入った財布をテーブルに放置している」「目立つ場所に財布置き場がある」など、つい魔が差すような状況はつくらないことが大切です。

4.ペアレンタルコントロールの活用

お子さまが自分のスマホを使用している場合は、「ペアレンタルコントロール」を設定しましょう。

ペアレンタルコントロールとは、

  • 利用時間の制限
  • アプリやゲームのダウンロードの制限
  • 課金や購入の制限
  • 有害サイトや不適切コンテンツのブロック
  • 位置情報の確認
  • 利用状況や履歴の確認

などができる機能です。
制限のレベルは自由に決めることができ、アプリのダウンロードや課金をしようとすると、保護者のかたに通知が届き、承諾をもらわないと何もできないようにすることも可能です。

お子さまが安全にスマホを使うための大切な機能なので、ぜひ設定してみてくださいね。

もしスマホの高額課金が発覚したら……? 対処法をチェック

きちんとルール化し、保護者のかたが対策をしていても、スマホ課金トラブルが起こってしまう可能性は否定できません。高額の課金トラブルが発覚した際の対処法も見ておきましょう。

子どもの話をきちんと聞き、ルールの見直しを行う

課金トラブルが起きた場合、頭ごなしに叱るのはおすすめしません。なぜなら、本当のことを言い出しにくくなってしまうからです。なぜ課金してしまったのか、お子さまの気持ちをしっかり聞いてみてください。「親に相談できなかった」「課金の仕組みがわからなかった」などの理由があるかもしれません。

そして、二度と課金トラブルが起きないように、「課金したい時は必ず相談する」などルールの徹底・見直しも行いましょう。

必要なら「未成年者契約の取消し」を申し出る

「未成年者契約の取消し」とは、18歳未満の未成年者が保護者のかたの同意を得ずに行った契約を取り消すことができる制度です。取り消すことができれば、契約は最初から無効となり、支払った代金の返金を請求することができます。

ただ、保護者のかたのスマホを使って課金をした場合、「子どもが契約した」と証明することが難しく、プラットフォームの規約や判断にもよるため、必ず取り消されるわけではありません。また、子どもが「保護者の同意がある」「18歳以上である」などと偽って契約した場合や、未成年者が成年になって5年を経過した場合は、「未成年者契約の取消し」が適用されないため注意しましょう。

お困りの際は、お住まいの自治体の消費生活センターに相談してみてくださいね。

まとめ & 実践 TIPS

スマホ課金トラブルは年々増加傾向にあり、ITリテラシーの高まりと課金の手軽さから、お子さまと保護者のかたにとって身近な問題になっています。事前のルールづくりと保護者のかたによる設定・管理が、トラブルを防ぐ第一歩です。万が一の際も冷静に対応し、お子さまと話し合いながら、安心・安全で楽しいスマホ利用を目指しましょう。

プロフィール


海田幹子

教育・育児、マネー等について執筆。現在、小学生2人の子育てに奮闘中。

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