「部活だけ登校」はあり?不登校の子どもの気持ちに寄り添う選択肢

不登校の子どもに「教室には行けないけど、部活には行きたい」と言われたら、どう思いますか? 「部活だけでも行ってくれたらうれしい」「授業に参加せず部活だけというのはどうなのかな…」など、きっとさまざまな意見があるでしょう。実際、「部活にだけ行きたい」という不登校の子どもは少なくありません。

今回は、子どもが「部活だけ登校」を希望したときに、考えたいポイントや学校との連携の方法などについてご紹介します。

この記事のポイント

    不登校でも部活だけ登校はあり! その理由とは? 

    理由1:家庭だけではない自分の居場所ができるから

    「部活だけ登校」にはいくつかハードルはあるものの、結論として部活だけの登校は十分選択肢としてありです。その理由を3つご紹介します。

    子ども自身が「部活に行きたい」ということは、活動そのものが好きだったり友達や先生が好きだったりと、心地よい環境がそこにあるのでしょう。部活に行くことで、家庭だけではない自分の居場所ができることは、きっと心の安定につながるはずです。

    理由2:好きな活動を通じて自己肯定感が高まる

    体力や技術の向上による達成感や目標達成による自己効力感(「自分はできる」と感じる気持ち)など、部活動では心を動かすチャンスがたくさんあります。時には挫折を経験し、それを乗り越えた先には「自分はこのままでいいんだ」と思える自己肯定感が芽生えるでしょう。

    学校に行かないことで好きな部活をあきらめることは、子どもにとってとてもつらいことです。意欲があるならば、できるだけ実現の可能性を探ってあげましょう。

    理由3:保健室や別室登校のように部活を考えてみる

    文部科学省は、不登校児童生徒に対するきめ細やかで柔軟な対応をするよう学校に義務付けています。たとえば、多くの中学校で認められている保健室登校や別室登校は、安心して学習できる居場所や社会とのつながりを維持する役割があります。

    「部活だけ登校」でも同様に考えることができ、少しでも子どもの意欲が持てるのであれば、学校も積極的に対応してくれるはずです。まずは担任の先生に相談してみましょう。

    子どもが「部活だけ登校」を望んだ場合、その気持ちをまず受け止めてあげることが大切です。そのうえで、以下の内容について無理のない範囲で話し合ってみましょう。

    「部活だけ登校」について親子で話し合いたいこと

    子どもが「部活だけ登校」を望んだ場合、その気持ちをまず受け止めてあげることが大切です。そのうえで、以下の内容について無理のない範囲で話し合ってみましょう。

    ・どのくらいの頻度で、どのように参加したいのか
    ・行くときにどのようなサポートが必要か
    ・どのくらいの頻度で、どのように参加したいのか
    ・途中でしんどくなった時にどうするか

    「部活に行きたい理由」「送迎など、必要になるサポート」「参加頻度や参加の仕方」「途中でしんどくなった時の対応」などを話しておくと、学校と連携を取る際にスムーズです。

    もし部活に行きたい理由が、スポーツや文化活動そのものといった「活動がしたいだけ」であれば、「部活だけ登校」がうまくいかなかった場合、クラブチームや習い事も視野に入り、活動を続ける提案ができます。

    部活を始めないとわからない部分も多いので、無理に行かせようとせずに、保護者も学校も子どものペースに合わせた対応が必要です。

    「部活だけ登校」は先生や部活仲間の理解がカギに

    「部活だけ登校」には、担任の先生や顧問の先生、さらに部活の友達や先輩、後輩に理解してもらい、心地よく参加できる環境が不可欠です。まずは、前述の話し合いに基づいて「部活だけでも参加したい」という本人の意思を、担任の先生を通じて、顧問の先生に伝えてもらいましょう。

    学校が「部活だけ登校」を認めた後は、部活の友達や先輩、後輩にも理解してもらう必要がありますが、とてもデリケートな課題です。子どもによっては、不登校なのに部活だけ参加することを「部活の全員に知られるのが嫌」という気持ちを持つことも十分理解できます。

    部活仲間との関係性によって最適な対応が異なるため、一概にこの方法がよいとは言えません。たとえば、「今の自分の状況(教室に行くのがつらい、朝は体が動かなくて学校に行けないなど)」と「部活への思い(活動が好き、仲間が好きなど)」を頼りになる先輩や仲の良い友達にだけは伝え、味方になってもらうこともおすすめです。

    そこは、顧問の先生にうまく橋渡しをしてもらい、練習への参加が難しそうであれば、見学から始めてみるなども考えてもらえるといいですね。

    「部活だけ登校」が新たな会話のきっかけに

    「部活だけ登校」ができるようになったら、部活の話を家庭内の会話のきっかけにしてみましょう。ぜひ、部活での出来事や困ったことはないかなどを聞いてみてください。新たな発見があるかもしれません。

    もし部活に行けなかった日があったとしても、否定せず受け入れてあげてください。「部活に行きたい」と思って行動できたことが、大きな一歩です。また、順調に部活に参加できたとしても、「部活へ行けたのだから」と学校への復帰を急かさず、ゆっくり見守ってあげましょう。

    部活を通じて子どもの「やりたい」を尊重

    「部活だけ登校」は、子どもが自分なりのペースで、部活だけでも頑張ろうとしている大切な一歩です。ぜひ子どもの「やりたい」を尊重し、先生や部活の仲間の協力のもと、過ごしやすい環境が作れるといいですね。うまくいかない日があっても、それは決して失敗ではありません。焦らず、お子さんのペースを大切にしながら、一緒に歩んでいきましょう。


    参考資料

    出典:不登校への対応について( 文部科学省公式サイト)

    プロフィール


    上木原 孝伸

    教育企業で講師として17年間教壇に立ち、教科指導や教室運営に携わった後、通信制高校の開校準備から参画、同校の副校長を4年間務める。その後、発達に特性があるお子さまとそのご家庭にマッチする環境のコンサルティングサービスの責任者を務めた後、ベネッセコーポレーションに入社。不登校ライフナビの監修等を務める。

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