夏休みの自主学習 どうすれば集中して取り組むことができる?【中学受験のプロがアドバイス】

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小学校高学年になると、夏休み中に学校の宿題や塾の教材以外で自主学習を行うご家庭もあるかと思います。ただ夏休みは時間がある分、だらだらしてしまいがちです。どうすれば自主学習に集中して取り組むことができるのか、森上教育研究所がお伝えします。

この記事のポイント

自主学習の目標を定めてスケジュールを決めておく

お子さんの生活習慣に配慮して学習計画を立てる

小学校の高学年で自主学習を行う場合、親御さんがお子さんの生活習慣や性格に配慮したうえで、うまく生活の中で自主学習が習慣化できるようにスケジュールを立てることが大切です。

行き当たりばったりで勉強を始めるのではなく、何時になったら自主学習の時間、といったかたちで親子で取り組む習慣が付けられると、お子さんも勉強のモードに入りやすくなります。

学習する内容についても、あらかじめ親御さんのほうで「どの日にどの教科のどの単元の問題に取り組むか」をきちんと定めた学習計画を立てておくとよいでしょう。
最初にお子さんに「今日はこの教科のこの問題に取り組むよ」ということを伝えておけば、お子さんも「これだけやればいいんだ」と集中して取り組むことができます。

目標と目的を明確にしておく

学習に取り組む内容だけでなく、その日の学習の目標、目的をクリアにしておくことも、お子さんのやる気を促すうえで大事です。

たとえば「算数のこの単元の基礎的な問題を解けるようにしましょう」という目標を親子で確認してから問題に取り組みます。
間違えてしまったり、理解できなかった場合も、目標がはっきりしていれば「できるはずだから、もう一度よく考えてみようね」といったかたちで、解き直しにも納得して取り組めるはずです。

このとき、難しい問題にいきなり取り組ませるということは避けたほうがよいでしょう。
自主学習は、宿題と違って強制力はありません。できるだけやさしい基礎的な問題をしっかり解けるようにするということを目標に、丁寧に親子で取り組むことを目指すのが成功のコツです。

中学受験をめざして塾に通っているお子さんの場合は、全ての単元の問題に取り組むのではなく、月例テストの正答率が50%以上の基礎的な問題でできていない単元に絞って取り組むと効率的です。
塾に通っているお子さんの場合は、夏期講習で時間をとられますから、できるだけ短時間で効果的な学習ができるよう工夫しましょう。

集中力が途切れないよう時間を区切り、子どもが楽しく取り組めるように

時間は短く区切って長くなりすぎないように

問題に取り組む時間は大体1つの問題に15分程度、長くても20分程度と決めて、わからない場合もあまり延々と取り組ませないようにしたほうが集中力が途切れません。

実際、テストの本番では1つの問題は2、3分で解くことが必要になります。
どうしても時間がかかる場合は、学習内容が理解できていない可能性があります。そんなときは、いったん前の内容に戻って学習しなおしたうえで、再度取り組んでみましょう。その際「わからないことは恥ずかしくないよ」とメッセージを伝えることも大事です。

また、すぐに問題が解けたり、理解が早かったりするお子さんの場合も、次に進んだりせず、その日に目標としていたところまで取り組めたら「今日はこれで終わり」としましょう。
親御さんは、ついつい次はこれもやってみようと欲が出てしまいがちですが、せっかくがんばったのに勉強時間を延長されたり、目標を広げたりされると、お子さんがつらくなってしまい、集中できなくなってしまう可能性があります。

お子さんが元気が出るようなご褒美を用意する

その日に決めていたところまでの自主学習が終えられたら「よくがんばったね」と伝えることと合わせて、何かお子さんが元気が出るご褒美を用意しておくのもおすすめです。
問題を一つクリアしたらシールをあげるのもいいですし、おやつや大好きなおかずを用意するのもいいですね。

また、お子さんが自主学習を行う際に「がんばろう」と思えるような、将来の目標や憧れについて話し合っておいて、その気持ちを思い出せるようなものを勉強部屋たリビングに貼っておくのも効果的です。
中学受験を目指すお子さんであれば、憧れの志望校の学校名や学校の写真を貼ってもいいですし、将来なりたい職業がある場合は、それを書いて貼っておくのもよいでしょう。

親子で対話しつつ、お子さんが楽しく学習できることを目標に

保護者が教え込むのではなく、お子さんに教えてもらうつもりで

親子で学習する場合、ついつい親御さんがやってしまいがちな失敗は、解説しすぎてしまうということです。

学習は、お子さんが考えてこそ意味があるものです。親御さんの解説を聞くだけでは、お子さんが考える余地がなくなってしまいます。
例えば間違ってしまった場合も「どうしてそう考えたのか、わかるように教えて」とお子さん自身に説明をさせて、つまずいている部分のみ指摘するにとどめるのがよいでしょう。

また、お子さんがある程度理解できていそうな場合は、お子さんに「先生になってお母さんに教えてちょうだい」とお子さん自身に解説してもらうと、お子さん自身が考えるきっかけになり、力もつくでしょう。

お子さんが集中して取り組むためには、お子さん自身が中心になって考え、楽しく取り組めるようにすることが一番であるということを、保護者のかたは肝に銘じておきましょう。

時間をとって探究的な学びに挑戦するのもおすすめ

問題集などをできるだけ短時間で効率的に進める一方で、せっかくの夏休みですから、正解が一つとは限らないような公立中高一貫校の適性検査のような探究的な問題に、親子で少し時間をとって挑戦してみるのもおすすめです。

入試の過去問などからお子さんが興味を持ちそうな問題をピックアップして、親御さんが答えを見てしっかり予習をしたうえで、お子さんにヒントを出して対話をしながら、「こんなふうに考えたらどうだろう?」と一緒に答えを考えてみてください。ノートに一緒にメモを取りながら考えていることを絵にしてみるのもいいですね。

まとめ & 実践 TIPS

夏休みの自主学習に集中して取り組む上でのポイントは次の通りです。
・自主学習を習慣化できるようにスケジュールと学習計画を立てておく
・その日の学習の目標、目的をクリアにしておく
・やさしい基礎的な問題をしっかり解けるようにするということを目標とする
・1つの問題に15分程度、長くても20分程度と決めて時間を区切る
・すぐに問題が解けても、次に進まずその日の目標までできたら終わりとする
・お子さんが元気が出るようなご褒美を用意する
・将来の目標や憧れを勉強部屋たリビングに貼っておく
・保護者が解説しすぎず、お子さん自身に考えさせる

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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