考える力が身に付く!かけ算の「本質」を知る大切さ

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考える力が身につく! 掛け算の「本質」を知る大切さと九九を暗記だけで終わらせない工夫

「九九の学習は暗記」と考えている保護者のかたは、きっと多いのではないでしょうか? しかし、九九を単に暗記して終わりにするのではなく、かけ算の本質を学ぶことで、お子さまの応用力や考える力、そして表現する力などが育っていきます。今回は、「ベネッセ教育総合研究所」顧問を務める八木義弘先生に、九九の本質を理解する大切さと、暗記だけで終わらせないための工夫についてお話を伺いました。

この記事のポイント

九九の「本質」を理解することの大切さ

九九の「本質」を理解することの大切さ

四則計算それぞれの意味を理解したうえで、立式し、計算の仕方を考え習熟し、問題を解く力を育てることはとても大切です。かけ算の意味である「1つ分の大きさ × いくつ分」という意味を根拠として式を立てたか、「なぜこの問題は、たし算やわり算ではなく、かけ算なのか」を説明できる力、そして、かけ算を活用して問題を解く力の育成が大切なのです。
かけ算の本質を学ぶことにより、生活の中でたし算よりかけ算を使ったほうがよいと的確な判断が可能になり、どんどん応用が効くようになります。そして、2年生以降の学年で習う「小数倍」や「分数倍」の学習にも発展していくのです。

そのため、かけ算九九の学習では「ただ九九を単に暗記していればいい」のではなく、「本質的な内容をとらえることの大切さ」を理解してください。かけ算の本質を理解することは、単なる計算技能ではなく、問題の状況を分析して適切な方法を選び解決する「思考力・判断力・表現力」を育てることにつながります。

九九を暗記だけで終わらせないために

九九を暗記だけで終わらせないための工夫

ここで、九九を暗記だけで終わらせないために、日常でできる「工夫」を2つご紹介します。

買い物や料理など、日常でかけ算を使う体験をさせよう

買い物や料理などの場面は、かけ算を体感させる絶好の機会です。お子さまに「1本200円の大根が9本あったらいくら?どうやって求めるの?」という問いかけをしてみてください。「200円+200円+200円+200円……+200円のたし算をやる」「大変だね。もっと簡単で便利な方法はないかな?」「かけ算でやればいいんだ!」「200×9の式になる」「まだ計算はできないけど、式ができて素敵」

このようなやりとりを続けていると、「同じ大きさのものがいくつ分」というかけ算の式を自然と理解できるようになります。また、価格や数量がそろっていない場合は、かけ算が使えないのでたし算で解決することも理解していきます。

このような日常生活の中でかけ算を使う体験を積み重ねると、九九の学習は単なる九九の暗記ではなく、日常に役立つ道具として身についていきます。ぜひお子さまと一緒に、かけ算を使う場面「同じ大きさのものがいくつ」を探してみてください。

きまりを見つけて表を作ってみよう

九九の積を表した表にはさまざまな「きまり」があります。
【九九のきまりの例】
・5の段では、かける数が1増えると、答えはかけられる数の5だけ大きくなる。
逆に、かける数が1減ると、答えは5だけ小さくなる(他の段でも同じことがいえる)。
・九九の表の■で囲った数を挟んで、ちょうど反対側の位置にある数は、同じ数になる。
・かける数とかけられる数を入れかえても同じ答え(たとえば、3×6=6×3など)になる。
・2の段の答えと3の段答えをたすと、5の段の答えになる。     など

上記のような九九のきまりを使って、お子さまと一緒に九九の表を作ってみるのもおすすめです。ある根拠をもとに、新しいきまりを発見し、それを活用して次の段を作っていく経験は、きっとお子さまの考える力・活用する力を伸ばすよい経験になるでしょう。

まとめ & 実践 TIPS

九九は単に覚えるだけでなく、その背景にある考え方を理解することで、算数の力がぐっと伸びます。生活の中で使う計算の法則の発見を通して、「なぜ、かけ算なのか」を考え説明する力を育てていきましょう。この力は、将来の学びや入試で求められる「思考力・判断力・表現力」の基礎にもなっていきます。ぜひ、お子さまと一緒に日頃から取り組んでみてくださいね。

編集協力/海田幹子

プロフィール


八木 義弘

公立小学校校長、東京都算数教育研究会会長、公立幼稚園長、大学講師などを経て、現在は株式会社ベネッセコーポレーションの「ベネッセ教育総合研究所」顧問を務める。

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