子どもの九九のつまずきをやさしくサポートする3つの対応策
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かけ算の九九は、小学2年生で重要な単元のひとつです。そのため、「かけ算嫌い!」「九九が苦手……」と我が子に言われたら、「どうやって克服したらいいの!?」と悩んでしまう保護者のかたもきっと多いはず。2年生の段階では「かけ算が苦手」=「かけ算の九九の暗記が苦手」ということが多いようです。今回は、「ベネッセ教育総合研究所」顧問を務める八木義弘先生に、九九が苦手になってしまった場合の対応策についてお話を伺いました。
【対応策1】まずは、どこでつまずいているのか把握する
まず、お子さまの「九九が苦手」の「苦手」がどこにあるのか、子どもによって異なるので、まずその子のつまずきや苦手な箇所を明らかにすることが大切です。たとえばかけ算の文章題では……
・文章を読み違える
・文章問題でどのように解けばよいのか見通しが立てられない
・解くための式が立てられない
・九九が覚えられていないため積が求められない
・「なぜかけ算でやったかのか?」を説明できない
・確かめができない など
九九の学習のつまずきや苦手意識の要因を確認してみてください。九九を学ぶ時に子どもがいちばん初めに苦手意識を持つのは、「暗記すること」であることが多いようです。
つまずきの箇所は、テスト・ドリル・ノートなどを参考にして見つけるとよいでしょう。
ここでは、特に苦手意識を持ちやすい九九の暗算について考えてみます。
【対応策2】繰り返すのは苦手な段だけでOK!
九九の暗記でつまずいている子に「九九全部を繰り返しやろうね」という方法は、「嫌気が先行し、好ましくありません。2年生の算数で九九が始まると、子どもたちは授業でも宿題でも毎日のように九九に触れます。そのうえ、おうちでさらに九九を全部繰り返すとなると、苦手な九九がさらに嫌いになってしまう可能性が出てきます。
そこで九九は苦手な段だけに絞って練習しましょう。宿題のドリルやテストなどでバツが付いているところを見ると、お子さまが何の段が苦手かがわかります。その段を、一緒に見たり聞いたりしてあげたりしてください。「7の段だけ」なら、子どもは快く覚えようとしてくれるはずです。さらに、7の段の7×4と7×6と7×8の3つだけで大丈夫となれば、喜々としてがんばります。
もし苦手な段が7の段と8の段と9の段のように複数ある場合は、7の段から順番に行っていきましょう。
2025年7月にベネッセが約1240人のお子さまを対象に行った、九九の各段の習熟度についての調査結果が下記のグラフです。
グラフを見ると、「少しつまずいた」と「つまずいた」の合計の割合がいちばん大きいのは「7の段」で、続いて「8の段」、「9の段」になっています。逆に、「1の段」「2の段」「5の段」は「すぐできた」と「できた」の割合が約90%以上です。
覚えやすい段と覚えづらい段があることを理解し、楽しみながら効率のよい方法で九九の暗記を助けていけるといいですね。
【対応策3】九九の「楽しさ」「面白さ」「役立ち感」で子どもの感情面を揺さぶる
九九を覚えるのが「楽しい!」「面白い!」「これは役に立つ!」と思えると、子どもは意欲的に九九を吸収していけます。「リズムとダンスで覚える」「トランプを使ってかけ算ゲームをしてみる」「語呂合わせで覚える」など、お子さまに合った楽しい暗記方法を見つけてみましょう。
また、実力がついていく様子を視覚化するのもおすすめです。たとえば、九九のプリントをする時にタイムを計って折れ線グラフに記入していくと、少しずつタイムがよくなっていくことが目で見てわかり、やる気アップにつながります。時間の計測に砂時計を用いることも喜びます。
「役立ち感」は、かけ算を生活と関連付けることがおすすめです。スーパーや駄菓子屋さんでの買い物や、料理での調味料の分量など、「いっぱいたし算をするよりも、かけ算を使うと早く答えが出て便利だな」と思える声かけをしてみましょう。役立ち感が持てると、学習意欲も高まっていきますよ。
楽しい九九の覚え方は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてくださいね。
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まとめ & 実践 TIPS
九九でつまずく要因はさまざまありますが、多くの場合は最初の「暗記」です。まずは、どこでつまずいているかを確認し、苦手な段だけを重点的に繰り返しましょう。九九の楽しさや面白さ、日常での役立ち感を感じられる工夫を取り入れると、子どもは意欲的に学習できます。覚えやすい段と覚えにくい段の違いを理解しながら、無理なく楽しく九九を定着させていけるといいですね。
編集協力/海田幹子
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