問題をよく読み間違えます。どうすれば落ち着いて取り組めるでしょうか? [中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す保護者のかたから寄せられた質問に、実践的なアドバイスをします。

【質問】
テストなどで、問題文を読むことが苦手のようです。たとえば、「次の選択肢から正しいものに○を、間違っているものに×をつけましょう」と問われていても、○しかつけていないことがあります。正答率は高いほうですが、問題の読み間違いによる減点が多いです。普段から、問題をしっかり読むように言っているのですが……。
相談者:小3女子(大ざっぱなタイプ)のお母さま

【回答】
具体的に指示することが解決の早道

■「しっかり読みなさい」では伝わらない理由

「問題の読み間違いによる減点が多い」ということですが、お子さまの大ざっぱな性格が影響しているのかもしれません。何事に対しても、慎重に取り組む子もいれば大ざっぱな子もいます。うっかりミスは、やはり大ざっぱな子どものほうが多いと思いますが、「しっかり読みなさい」とか「丁寧に読みなさい」と注意してもなかなか直りません。なぜでしょうか? それは、本人としては「しっかり読んでいる」「丁寧に読んでいる」つもりだからです。

自分と他の人の感じ方は違います。やることは同じようでも、程度の差はおのずと出てきます。その違いを伝えることは、なかなか難しいものです。それではどうしたらよいのでしょうか?

■どのように伝えるか?

伝える時は、どのようにしたらよいのかを、具体的な動作として伝えることです。「しっかり読みなさい」で伝わらないのは、「しっかり」がどの程度か、人それぞれ違いがあるからでした。このような「程度」を他の人に伝えるのは、なかなか難しいものです。たとえば、「私の言う『しっかり』は、10字を2秒かけて読むことです」なんて言っても、余計わからなくなりますよね。このような場合は、動作として教えると意外に簡単です。たとえば、「線をひきなさい」「○で囲みなさい」「声に出して読みなさい」という具合です。

「指差し呼称」というのがあります。点検時に、点検箇所を指差して「○○よし!」と声に出して確認する方法です。もともとは、機関車の運転士が、信号確認のために行っていた安全動作でしたが、現在では鉄道以外にも多くの現場で行われています。この指差し呼称は、動作で忘れやミスをしないように、自分に意識付けしているのです。このように、「動作」はミスを防ぎます。しかし、試験中に「○○よし!」と口に出すのもおかしいので、やはり問題を解く時は、鉛筆で点検箇所に線をひくということになります。

■点検箇所はどこか?

それでは、問題を解く時の“点検箇所”はどんなところでしょうか? それは、「求めるものは何か?」と「条件は何か?」の2か所でしょう。ご質問の中にあった、「正しいものに○を間違っているものに×をつけましょう」が条件です。そして、求めるものは恐らく「本文の内容として正しいものはどれですか」というようなものでしょうから、ここにも線をひいておきましょう。

この他によく間違えるのは、たとえば「正しくないものはどれですか」と本文の内容と違うものを選ばせるような選択肢問題です。ここでも、「不適切なものを1つ選び、記号で答えなさい」という条件に線をひけば間違えることはかなり防げると思います。なお、間違えるところは、人によって違う場合が少なくありません。よく間違えるところを見つけて、そこを重点的にチェックするとよいでしょう。

■具体的な指示が解決の早道

人はミスを犯します。再度確認したり、目的や条件に線をひいたりするなど、ミスを防ぐ方法はいろいろあります。こうした方法は、経験豊かな大人であれば自然に思い付くことでしょう。しかし、子どもの場合はなかなか考え付かない場合もあります。そんな時は一緒に考えてあげて、どうすればよいのか、具体的な指示を与えてあげたいものです。「しっかり読む」とか「大事なところに」とか、抽象的な表現ではなく、具体的に指示をすることが解決の早道になると思います。

(筆者:小泉浩明)

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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